メカクシ団の副団長さんはキドの姉６ [カゲプロ]

２１９話 ページ20

...風谷side...


仕事も終り、ふらふらとそこらへんを歩いていた

暇だな、今日は


「……あいつに電話でもしようか……」


キョウとはまだ連絡がつかない

一週間連絡がつかない


……一週間


今まで一週間間をあけずに連絡していた訳じゃない

けど……でも、連絡をしたら次の日には返信があった

仕事が忙しくたって、何か返事はあったのに



「……胸騒ぎが、する」


ざわざわ、ざわざわ

心の奥で何か感じる異和感

それはカナも同じなようで、私たちの間では最近よくそういう話題になる


戸田は何かを隠しているような……

挙動不審、だし


とにかく、何かがおかしい



落ち着かない


もう夕方だなと思って夕焼けを見ていると、ふと向こうに不思議な奴を見つけた


ゲームか何かのコスプレをしているような、不思議な恰好


白い髪に色素の薄い肌

複雑な形をした服と頬に何か赤い模様


そして、どこかおろおろとした様子だ

……何か困っているとか、か……？



「なあ、どうしたんだ？」

「え、あ、その……」

「……？」

「ま、Manabeって会社の場所……知らない……？」


そいつはローテンポな口調で訊ねた

Manabe……？

って、あの建設会社だよな……


「確か都内にはあったが……電車を何本も使うし、お前は金持っているのか？」

「えっ」

「持っていない、か……」

「……うん、持って……ない……」


シュンとする男は、今にも泣き出しそうな顔で下を向いた

さっきまで無表情だったのに、どうしたんだろうな

なんとなくあまり表情を見せない所があいつに似ていて、誘ってみた



「なあ、ちょっと私とどこかの店に行かないか？」

「お店……？ 何か、買うの……？」

「いや、喫茶店。お茶でも飲もう」

「でも、その会社に行かなきゃ……」

「私、その会社に詳しいんだ。教えられることなら教えよう」



詳しいと言った瞬間、そいつに少し輝きが増した気がした

微妙な変化だが、たしかに嬉しそうだ


……それじゃあ、近所の喫茶店に行くか……


「行くぞ」

「うん……」


やっぱり何となく、あいつに似ているんだよな、雰囲気が……

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