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201話 ページ2

雨降る中、車はだんだんと走って行く

ベンツという高級車なのに、何故だか山奥へ向かう

……汚れてもいいのか

傷付いたりだってするだろうに……



『……山の中に目的地があるのか……』

「はい。神聖な所ですからね。もう少ししたら、徒歩で行くことになります」

『……ふうん……』


そんなことはどうでもいい

俺は頬杖をついて窓の外を眺め続けた

ああ……絶対、怒られるよなあ、これ

――姉さんも、あの時そう思っていたんだろうか……


……もういいか

余計なこと考えたって、しょうがない

どうせ、もう終わるんだからな



諦めたような、本当に自暴自棄になったような

自分でも呆れる考えになって、目を閉じた



『……』

「……」


沈黙

これは何度目何だろうか

俺が質問しては短い会話になり、途切れる

……まあ、そんなことはさっき考えていたことよりもはるかにどうでもいいのだが



キッ!


キュっといったようにも聞こえたその音は、車が止まったことを示している


『……これから徒歩か』

「はい、傘はこちらで用意しております」


男がまず自分が外に出て、俺の方のドアに歩いて行った

そして、俺が雨に濡れないように傘でドアの上を覆い、傘を差し出してきた

その差し出してきた傘は、無難な紺色


「女性にこのような色は失礼かと思ったのですが、ワカバ様でしたので……」

『いや、こういうものが良い。礼を言う』


ありがとう、とは言いたくなかったため、礼を言う、なんていうかしこまった言い方をした



「少しきついかもしれませんし、きっと雨で滑りやすいので……気をつけてください」

『ああ』


そんなこと分かっている

そう思いはしたのだが、反抗することが馬鹿らしいからやめておいた

ああ……これからの道はきついのか


いや、フェミニストっぽそうなコイツのことだ

少しの登りでも手を差し出してきそうだ

……そうでもないだろう



『……マジか』

視線を前の道に向けた瞬間、頭をしばし思考停止した

…………スキーとかで滑れそうなくらい急な坂だ


他に……他に道はないのかよおい……

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瑠音 - この作品、凄く面白いです!応援してるよ!本にして売ってほしい位!!!面白いです! (2015年8月11日 21時) (レス) id: 39fc9d8edd (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草(プロフ) - 琉空さん» 大丈夫、まだ崩してないから!心配ありがとー。何で遺産くれないのっ!?(( (2014年11月30日 13時) (レス) id: 041b6bfdd4 (このIDを非表示/違反報告)
琉空 - 鈴鐘草さん» 鈴ちゃん、最近寒いから体調崩さないようにね!!更新いつでも待ってるから、頑張れ!!( ´ ▽ ` )ノ遺産はナイケドネ!!← (2014年11月29日 23時) (レス) id: 047d33efae (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草(プロフ) - ☆ハガネ☆さん» 初めましてー、☆ハガネ☆さん!あばばば、読み返していただけるとは…ありがとうございますっ。更新頑張ります。コメントありがとうございました! (2014年11月27日 22時) (レス) id: 041b6bfdd4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴鐘草(プロフ) - 琉空さん» そうだよ霊長類だよ!www ……え、何をイッテイルノ?(威圧← (2014年11月27日 22時) (レス) id: 041b6bfdd4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鈴鐘草 | 作成日時:2014年9月17日 20時

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