信頼 ページ32
「…私、いつもそうなんですよ。」
「いつもって?」
「自分が悪かろうが悪くなかろうが、人の目ばかり気になってしまうんです。
センラさんはお仕事できますし、自分にも他人にも厳しいから、周囲からの信頼を得ています。
けれど、まだ半人前の私には、その自信がないんです。」
あはは、と口から洩れるのは乾いた笑い。
私っていつもそう。
楽しくも面白くもないのに、その場をしのぐために意味もなく笑ってしまう。
…なんか、こんなこと言うなんて、大人として私情けないかな…。
でもセンラさんに関しては、あんな場面見られたらもう情けないとかどうでもよくなってきた。
「ふーん」
…いや、ふーんって…。
こっちはセンラさんが色々言ってくるから真剣に話しているのに、全く興味なさそう。
やっぱり話すんじゃなかt
「もったいないやんそんなの。」
「?」
え、勿体ない?なにが?
「佐和はさ、受けなくても良い雑用を受けている所為で仕事のペース落ちてるけど、
内容は誰よりもしっかりしているし、
要領も良い方だから雑用受けなければ俺よりも仕事のペース速いと思うで。
時間は守るし期限も守るし、できないことあればいい加減にやらず聞きに来るし。
少なくとも俺は信頼しよる。」
「…!?」
え、センラさんが褒めてくれている…!?
でもこの人が人を褒めるところなんて見たことないし!
気を使ってお世辞使ってくれてるの…?
いや、それこそあり得ない…。
「なんやねんその顔。」
「えっ!?」
「さては信用してないな?」
にやりと悪戯っぽく笑うセンラさん。
…この人の笑顔、初めて見たかも。
こんな顔もするんだぁ…。
「だ、だってセンラさんから褒めてもらえること、今まで1度も…。」
「部下は厳しく育てるのが俺のモットーだから言わないだけや。
毎日一緒に仕事してれば、佐和の良い所なんてたくさん知っとるよ。」
「…っ!」
え。え。何そのデレ…!?
「ほな、そろそろ戻るよ。」
「あ、はい…!」
センラさんに褒められたこと。笑顔を見れたこと。
このふたつがあまりにびっくりで、私は帰り際センラさんの顔が見れなかった。
…でも。
今までの頑張りを認めてもらえたような気がして、
実は嬉しかったりもした。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年9月17日 1時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - この作品めっちゃ好きです!センラさん推しとしては嬉しいです!!あと、更新はもうしないのでしょうか?私は続きが読みたくて書かせてもらってます。ご検討お願いします (2021年4月8日 3時) (レス) id: a2041f9d5c (このIDを非表示/違反報告)
蜜-mitsu-(プロフ) - いろみずさん» 返信遅くなってしまってごめんなさい!通知に気づいていませんでした…!センラさんが大好きなので、毎度更新するのが楽しいです!読んでくださってありがとうございます! (2020年6月20日 23時) (レス) id: d0044b0fe5 (このIDを非表示/違反報告)
いろみず - ああああああ!好きが溢れてますね!これからも頑張ってください! (2020年5月31日 18時) (レス) id: be92b83ba0 (このIDを非表示/違反報告)
蜜-mitsu-(プロフ) - あまち@黄色さん» わぁぁありがとうございます!浦田さんが悪者であることに以前指摘を受けたことがあったので、そういう風に言っていただけることはとても嬉しいです。作者的にも、実はこの過去大好物で(笑)先日実習が終わったので、また更新したいと思っています! (2019年11月18日 12時) (レス) id: d0044b0fe5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜 | 作成日時:2018年8月3日 23時