ニガテな上司（センラ）

15分 ページ27

(ﾄｩﾙﾙﾙ…ｶﾞﾁｬ

｢はい、折原です。｣

｢あ、センラさん、佐和です。

申し訳ありませんが、お客様が来ていらっしゃるので戻るのが遅くなります。｣

｢了解。

時間結構かかりそう？

なにかトラブルあったん？｣

｢いえ、大丈夫です。

15分で戻りますので。｣

｢わかった。｣

｢では失礼します。｣

電話を切って振り返ると、後ろにいた浦田くんは満面の笑みだった。

｢それじゃ行きますか？｣

｢……｣

どこに連れていくつもりだろう。

密室にだけは行かないようにしないと。

何されるか分かったものじゃない。

浦田くんと共に会社を出る。

すると、

(ｶﾞｼｯ

すごい力で手を握ってきた。

｢ちょ…｣

｢こうしないと逃げるだろ？｣

｢逃げないし…離して！｣

｢だーめ｣

ずるずると連れて行かれた先は…駐車場。

1番手前に止められていた緑の車の前で、浦田くんは足を止めた。

｢はい、じゃあ乗って？｣

｢…悪いけど、車内では話したくない。｣

｢…なんで？｣

なんで、って…。

分かってるくせに。

それに、車に乗ったらどこかに連れていかれてしまうかもしれない…。

｢ここで話そう。｣

｢いいから乗って。｣

｢嫌。ここで話しても同じじゃない。｣

｢早く乗れよ｣

｢っ……｣

言い方が強くなる浦田くん。

でも負けちゃいけない。

｢……やだ！｣

そう言った途端、浦田くんの顔は驚くくらい冷たくなった。

｢…いいから乗れって言ってんだろ｣

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