溺愛される鬼少女③ (ページ45)

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心配性の仲間① ページ45

「じゃあ俺はこれで失礼する」

「わざわざ送ってくださってありがとう」

小芭内さんにそう言うと少し顔を赤くした。

「ああ」

「小芭内さんも気をつけて帰ってくださいね」

少しだけの沈黙。
…うん？このままお別れでいいよね？

入るまで見てるつもりなのかな。

「…A」

「はい？」

首を傾げて小芭内さんを見つめてるとぐいっと腕を引かれてそのまま小芭内さんの腕の中。

「小芭内さん？」

問いかけても応答なし。

小芭内さんは身長が低いほうだけど私はもっと低いからちょうど顔が見えない。

「…あの？なんでしょう」

本当にどうしたの。

悶々と考えてると額に優しく何かが触れた。
包帯越しでも分かった小芭内さんの唇。

そして離れた。

「小芭内さんから接吻しても意味ないですよ」

私の力は使えないよ。

「俺はそれを求めているわけじゃない」

「？…じゃあ何を」

「お前には理解出来ないだろう」

そう言って優しく笑ったけど
…それ馬鹿にしてるよね。

「何なんですか」

ムスッとする私を見てまた笑って、頭を撫でた。

「また来る」

爽やかに去っていく小芭内さん。
…いつものネチネチさはどうしたの？

まるで別人。

「またね」

一応そう言っておいた。後ろ姿に。
…一応ね。

そのまま普通に中に入る。
お館様は前の一件から私の存在を隊内に伝えた。

まあ、私の存在に気づいてる人が多かったから騒ぎにはならなかったけれど…

「…ひいっ。アイツ、鬼の幸月だ」

「やめろ、馬鹿。聞こえるだろ…！」

なんて声が耳に入る事もある。

「あ、A！帰ったのか！」

「炭治郎！」

だけどそんな声を気にするような私ではない。
なぜなら炭治郎の嫁だから(違

「遅かったな…みんな心配したんだぞ」

「えへ、ちょっと時間がかかって…」

嘘だけど。

「嘘は良くないぞ」

「寝てました」

さすが我が旦那様。
私の嘘もお見通し！！

「寝てたのか？どこでだ？」

「森の中」

「森！？危ないだろう！！」

ガシッと肩を掴まれてグワングワン揺らされる。
うぷっ。吐きそう。