溺愛される鬼少女③ (ページ42)

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無惨の提案① ページ42

鬼の呼吸陸ノ型雪鬼の刃

直線の攻撃で首をはねる。
誰もいない森の中、ボロボロ消えていく姿を見守った。

同情なんてしない。

だけどもし彼らが私と同じだったなら、
もし私が彼らと同じだったなら。

「…来世は生きて」

ひとつ間違えれば私は人間を喰っていたかもしれない。その考えが頭の中に入って消えない。

「見事な技だ」

気づかなかった。
突然背後から声がして振り返れば洋服を着た男性。

「…もしかして」

「しかも勘もいいとは」

勘も何も私はこいつと一度会ってる。

「久しぶりだ。A」

「…鬼舞辻無惨」

会いたくなかった。
会ってはいけなかった。

逃げないと。

「…っ」

慌てて逃げようとしたけれど足が止まった。

逃げていいの？
このまま逃げても…

「どうした。私が恐いか」

「…」

全ての人の仇。

「私は話がしたいんだ」

そう言った無惨を見ると嫌な笑顔を浮かべた。

「…お前に話す事なんて何もない」

短刀を2本握って無惨を睨む。
動じない無惨に向かって足を踏み出した。

鬼の呼吸参ノ型鬼蓮の羽衣

ふたつの方向から無惨の首を同時に狙った。

「話をする気はないようだな」

避けられた。
全然見えなかった。

木の上に座って表情をひとつも崩さず話す無惨。

「…」

無理だ、勝てない。
膝が震えて上手く立てない。

短刀を握る手も震える。

「私はお前に提案があるんだ」

落ち着け、落ち着け。
向こうは話をしに来ただけって事は攻撃して来ないはず。

つまり今はチャンス。

血鬼術藤の蔓

血をバラまくことで藤の花の蔓が色々な場所から生える。

無惨を捕まえるために伸びる蔓。

「血鬼術も良い」

鬼の呼吸伍ノ型鬼蜘蛛

一瞬で蜘蛛の巣の形の斬撃で攻撃。

お願い、少しでいいから当たって！
そう願っても全てを避けられる。

「ますますお前を気に入った」

そう言って笑う無惨が一瞬で距離を詰めてくる。

「お前を上弦の零にしてやろう」

私が反応する前に
その言葉と共に首に何かが刺さった。