溺愛される鬼少女③ (ページ39)

今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:67,828 hit

家族と友とページ39

「お騒がせしました」

その日の夜、晩御飯には珍しく炭治郎達もいて。
全力で頭を下げた。

「…ふふ、本当ですよ」

しのぶさんがそう言って笑った。

「よかった、本当に」

そう言ったアオイは目から涙を流していて。
アオイには感謝してもしきれない。

「ごめんね、アオイ。ありがとう」

「いいの、Aが元気なら」

じわじわと温かさが私を包み込む。
この感じが好き。

「ご飯、冷めるよ」

カナヲの言葉でみんな食べ始めた。

「Aさん、これあげます」

そう言ってきよちゃんはキャラメルをくれた。

「ありがとう！」

「後で果物を食べましょう」

「リンゴを貰ったんですよ」

なほちゃんとすみちゃんも私にそう言ってくれた。
本当に有難いし申し訳ない。

「A」

しのぶさんの芯の通った綺麗な声にみんなが静かになった。

「あなたには仲間がいますよ」

しのぶさんが言ったのはそれだけだった。
それだけ言って優しく微笑んだ。

その言葉に込められた意味を理解すると目頭が熱くなった。

だけど、泣かないよ。

「はい！」

笑って返事をした。

「Aには笑顔が似合うよ」

「禰豆子ちゃんほどじゃないけど！」

「俺様のおかげだ！！」

この時間は家族で過ごした時間に似てる。

私が家族を失って友を失って
それでもひとりでご飯を食べなくていいのは仲間がいてくれるから。

「やっぱり炭治郎と結婚したい」

「すぐ言うだろ！！」

「寝坊助のくせにうるせぇ」

私の話に返してくれる人がいる。

「食事中に喧嘩はだめだ！」

「大人しくしてください！」

騒がしい日々が続いてくれるから楽しい。

同期も蝶屋敷のみんなも柱の人たちも
みんながいてくれるから

「…あれ？Aさん？」

「あー！！お前また泣いてんのか！！」

きよちゃんと伊之助の声でみんながこっちを見た。

「ちがう、ちがう。嬉しくて」

気づいたら涙が出ていたらしい。
嬉しかったから、すごく。

私には家族も友もいないけど

"仲間"がいるんだって。

すごく嬉しくて。