溺愛される鬼少女③ (ページ28)

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別れは突然に① ページ28

大切な人はいつまでも生きてる。
確信なんてないけどそんな気がするんだ。

「A、お使いを頼んでもいいでしょうか？」

「もちろんです！」

朝、そんな会話をしてしのぶさんに頼まれた薬を買いに我が故郷へ。

ゆっくりして行くといいってしのぶさんは余分にお金をくれた。

「可愛いだけじゃなく性格も完璧なしのぶさん愛してる」

血鬼術変化華で髪を青色、目を緑色。
桜色の短めの着物に変えた。

まあでもしのぶさんのお金を使うのは申し訳ないし私だってお金はあるからね。

お言葉に甘えてゆっくりしていこう。
家族にも会いたい。

・

「さすがにゆっくりしすぎたわ」

気づけばもうすでに夜。

「ケケケッ、バカメ」

「唐揚げにするぞ」

なんてやり取りをしながら帰る。
まあ今日は任務無いし、大丈夫。

「嫌ぁ！化け物！！」

呑気に歩いてると目の前で女の人が襲われかけていて、急いで近寄る。

鬼の呼吸参ノ型鬼蓮の羽衣

ふたつの方向から同時に斬りつける。

「…っ外した」

1発で仕留めるつもりが女の人を庇った事で体制を崩してしまった。

「今のうちに逃げてください！」

女の人にそう言うと慌てて走って行った。

満月の光が鬼の顔を照らす。

「…正？」

間違いない。
間違えるわけない。

正だ。

「ガルルルッ」

正気を失ってる。

「…っ正！」

だめだ、斬れない。嫌だ。

文はどこなの？
お腹の子は…

「ガウッ！」

噛み付こうとしてくる正の攻撃を弾いて
嫌な考えが頭によぎる。

こんなに飢餓状態で…

「やめて、正！」

お願い正気に戻って。

変化華を解いて元の姿に戻った。
もし、私を覚えていてくれたら元に戻るかも。

「ガウウッ」

「…ッ」

正の力が強くなる。
反撃出来ない分こっちが押されてる。

顔を引っかかれても私は治るから。
私が止めるから。

「…っ正ぁ！」

そんな時、遠くから聞こえた文の声。

「来てはだめ！！」

そう叫んだのに文は走ってくる。
まだお腹も大きな状態で。