溺愛される鬼少女③ (ページ18)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:67,871 hit

お酒はダメ④ ページ18

しのぶ side

「お酒の力を借りて言うなんて情けないですね」

なかなかAが戻って来ないから来てみれば不思議な光景。

私が3人に注意している間に寝てしまったA。

「酔いは覚めましたか」

「うむ。すまない！胡蝶！」

隣で寝るAの頭を撫でると気持ち良さそうに微笑んでる。

「酒の力借りねェとやっていけねェ」

「不死川さんは謝ったんですか？」

「ああ」

ちゃんと謝ったのでしょうか。
Aは怒ったりしないけど…

「何かあったのか？」

「いやァ、なんでもねぇよ」

この年齢から好きでもない人と接吻をしたり身体が変わってしまったり。

この子は…

「…ふふ」

でも決して"可哀想な子"ではない。
何の夢を見ているのか、幸せそうに笑う。

「正直に言おう。俺はAを愛している」

普段大きな声で話す煉獄さんが静かにそう言った。
まあ、皆さん知ってますよね。

「だから誰にも譲る気はない！宣戦布告だ！」

そう煉獄さんが言った後、難しそうな顔をする不死川さん。

きっと、Aと何かあった。

「俺も譲るつもりなどない」

冨岡さんがそう言うとAの指がピクッと動いた。
…起きましたね。

「お前もAの事を好いているのか！」

「当たり前だ」

ああ、ふたりは気づいてないみたい。
Aは起きているのに…

ふふ、お気の毒に。

「不死川はどうなんだ！？」

「俺ァ、本人にしか言わねェ」

「不死川さんは意外とそう言う人ですものね」

Aが起きてる事に気付かないふりをして
少し不死川さんをからかってみた。

「…るせぇ」

本人にしか言わないって時点で好きって事になる気がしますけどね。

・

A side

やっべぇ。
起きるタイミング間違えた。

ってのが最初の感想。

杏寿郎さんの声で意識がふらっと戻ってきて
冨岡さんの声で完全に目が覚めてしまった。

今起きたらだめなやつね。

みんな私のこと好きだったんだ…
知りたくなかった。

「…」

寝たふりを続けながら寝起きの頭で考えた。
私が"誰か"と幸せに暮らすのを。

…無理だ。