溺愛される鬼少女③ (ページ11)

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焼き芋② ページ11

「A…お雑煮だって」

「ありがとう、無一郎くん」

縁側に座る私にお雑煮を持ってきてくれた。
そして隣に座る。

「僕、分からないけど…家族がいたらこんな感じなのかな」

「そうかもね」

人の家の庭は勝手に使わないけどね。

「…楽しい」

「ふふ、よかった」

無一郎くんも楽しいって思うんだな(失礼

「…A、時透」

「悲鳴嶼さん、なんですか？」

「一緒に焼き芋を焼こう…」

可愛いお誘いを受けてしまったので焼こうと思う。
人の家だけどな。

「どうやって焼くの？」

「僕餅食べたい」

焼き芋って落ち葉の中に入れるんだっけ。
って思ったけど、どうやら普通に七輪みたい。

杏寿郎さんと実弥さんがひたすら焼いてるけどさすが長男。

「A、焼くかァ」

芋を見て悩んでると背後から腕が伸びてきた。

私の後ろにピッタリくっついて後ろから抱きつかれた状態。

「さ、ささ実弥さん…っ」

急に昨日の事思い出してしまった。

「どうしたァ、体調悪いのかァ？」

「全く！すこぶる元気です！！」

思い切り立ち上がって実弥さんから離れた。
くそう、乙女心が悲鳴をあげてる！

「急に立つなよ…」

どうやら勢い良すぎて実弥さんの顎に突撃してしまったらしい。

「あ、ごめんなさいっ！」

実弥さんに頭を下げて

「わ、私…悲鳴嶼さんに呼ばれてるので！」

と大嘘をついて逃げることにした。
本当、ごめんなさい。

「…私ならここにいるが…」

「いたんだ！！」

実弥さんの後ろにね！びっくり。

「呼んでな…」

「やだなあ、悲鳴嶼さんったら！向こうで話があるって言ったじゃないですか～」

うう、苦しい。
どこを見たらいいか分からない嘘すぎて…

「さ、行きましょー！」

なんて大声で誤魔化しながら悲鳴嶼さんの大きな背中を押す。
悲鳴嶼さんも頭にハテナを浮かべながらも進んでくれた…助かったぁ。

「どうしたんだ…」

「いえ。別に…ちょっと実弥さんと気まずいだけです」

「何かされたのか？」

「何もされてませんからその拳やめてください」

今にも殴りに行きそうな悲鳴嶼さんを落ち着かせていると

ガシャッ

後ろでそんな音が聞こえた。