超特急のお気に入り

○I fall in love…？ 4 ページ32

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拓弥「………寒い」



『…言ったじゃないですか』




近いと言ってもマンションまで


歩けば結構あるわけで




さっきまで涼しいと機嫌よく歩いていた拓弥さんの足取りは重くなった



このワガママ坊ちゃんが…





拓弥「なぁ〜あったかいの飲みたい〜！」




掴んだ手首を異常なまでに揺らしてくる




最初は可愛いたまんねぇ！って思ってたけど…

早く、酔いよ覚めてくれ





『…はい、どーぞ』





公園のベンチ付近にある自販機で

ココアを買って渡すと





拓弥「あったけー」





ベンチに座り


嬉しそうに頬ずりする拓弥さん




え、何これ可愛すぎん？！？！




お母さん！私を産んでくれてありがとう！

この瞬間まで生きててよかった！！！





拓弥「座んないの？」




この角度だと上目遣いにしか見えない


何？Aおじさんは誘惑されているのかな？





『よっこらせ』




拓弥「はぁーっ！…わ、息白い笑」




ココアを飲んであったまった拓弥さん


吐く息は白くてそれに反応するところがまた可愛い





『明日お仕事早いんですか？』




拓弥「うんまぁ」




『大変ですね』




拓弥「…まぁ」





マフラーに伏せた顔


表情は見えないけれど分かるよ


きっと彼はあの顔をしているんだろう





拓弥「海も…太陽も

俳優としても活躍してて…


晃一は作詞作曲とかしてて…

後の三人はバライティとか出てて…」





お酒は彼の弱さを見せる力があるのか





拓弥「俺…駄目駄目だよな…笑」




そう言い笑う彼の鼻は寒さで赤くなっていて




『…拓弥さん』



拓弥「俺、超特急の中では

一番演技出来ると思ってた笑」




震える声は寒さのせいか？



『私っ…』




拓弥「はい！これ…


アンタも寒いでしょ？笑」




はぐらかすように


自身のマフラーを解いて私にぐるぐる巻きつける






『…泣いてました？』





拓弥「まさか」




『だってマフラー少し濡れ…』




拓弥「鼻水だよ！！！！」




『汚なっ』




拓弥「うるさい」




うるさいなんて、酔いが覚めてきたのか？




『…私拓弥さんの出てた映画もドラマも全部チェックしましたよ？


アップで映ってるところとか何回も止めてみたし、

台詞も言えちゃうレベルで覚えてますよ？』




彼は弱いんだ…



弱いくせに、私のこと励ます為に今日誘ってくれたのかな…




拓弥「…オタク怖ぇって笑」



いつもの台詞すら弱々しく感じた




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