超特急のお気に入り

○Super Express Board 4 ページ22

〜拓弥side〜






拓弥「さっぶ…」





12月前の夜風は想像以上に冷たくて



店の前の自販機


迷わずにあたたかいコーヒーを押した





匠海「わ…すいませんありがとうございます」




拓弥「コーヒー飲める？」



匠海「はい
飲めないと美味しいコーヒーは淹れれないですから」



拓弥「大変だね」



匠海「…好きでやってるんで」



拓弥「俺らもだよ

…好きで芸能活動やってる」



彼の隣に座ると


俺の言葉の意図を察したのか少し申し訳無さそうに笑った



匠海「…本気です

興味本位じゃないです」



拓弥「…それってさ君がアイツと喧嘩してんのと関係あんの？」



匠海「…」




コーヒーを一気飲みし黙ったまま下を向いた


その横顔はすごく整っていて



シンプルに芸能人レベルだなと思った





拓弥「あー答えたくないなら全然」




匠海「…いや、


………俺好きな子がいたんですよ」




切なそうに微笑んだその表情から



すぐにその女の正体は分かった





匠海「小さい頃からずっと一緒だった


ずっと一番仲のいい男だった


周りからもいつ付き合うの？とか冷やかされたりして…


馬鹿な俺はいつか本当に付き合えるんだって思ってた


でも…初対面の男にその日に持ってかれたんですよ笑」




拓弥「…」




俺は自分のしてしまったことの重大さに今更気が付いた




俺らが太陽に勘違いさせてしまったせいで



無理にあいつに付き合うように脅したせいで




一人の少年がしてきた長年の恋心を踏みにじった





拓弥「…匠海君」




匠海「違うんです

文句を言いたいわけじゃない


太陽さんが良い方なのは

昔っからあいつに色んな動画とかブログ見せられてるんで分かります


ただ俺は…


Aの隣にいるだけじゃ
振り向いてもらえないことが分かった


もっと大きくなりたい


デカイ男になって


奪いたいんだ…」





同じ男として彼の格好良さに惚れた



アイツ…こんな良い男隣に置いときながら俺らのオタクやってんだな…




拓弥「馬鹿な女好きになったもんだな」




匠海「…俺はあの馬鹿女に振り回されてるくらいが丁度良いんです笑」




拓弥「…理事長には俺から言っとくから、
とっとと有名になってその馬鹿女焦らせてやれ」




応援？


それは違う


けれど太陽の肩を持ちすぎていたせめてものお詫び





あの女にはまだ俺の知らない

男をここまで本気にさせる何かがあるんだろう


それを知ったとき

俺はどうなる？

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