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他の子供たちが全員帰り時刻は7時。まだAのお迎えだけが来ていなかった。
「遅いねぇ〜……」
「……………うん。」
如月はAのお迎えが来るまで教室でお絵描きをしたり、折り紙をしたりして遊んでいた。随分と遅いものだから、何かあったのではと心配していた時、ガラガラと音を立てて教室の扉が開いた。
「すみません、遅くなりました!」
「あ、もしかして……Aちゃんのお迎えの方ですか?」
「はい!すみません……仕事が長引いてしまって……遅くまで申し訳ないです。」
「いえ、とんでもないです!」
「ごめんね、A。待たせてしまったね。」
夏油はAの前にしゃがむと、頭を優しく撫でる。五条と言い彼といい大きいしガタイがいいよなぁ…なんて如月は呑気なことを考えていた。普通、彼ほどガタイのいい男が現れれば多少怖気付くものなのだろうが、如月は鈍感と言うか肝が据わっていると言うのか、全く気にしていない。。
「今日、大丈夫でした?」
「あ、はい……その事でちょっとお話が……」
「………なにか粗相をしましたでしょうか?」
「あ、いえ!Aちゃんはすごくお利口さんでしたよ!他のお友達にも折り紙の折り方とか教えてあげたりして……でも……」
「………A、車に灰原も待たせてあるんだ。君と会うのを楽しみにしてるから、先に行っててくれるかい?」
「…………うん。」
「一人で行ける?」
「…………行ける。」
「後で私も行くからね。荷物は私が持っていくから。」
Aのお着替えを手伝い、靴を履かせてやる。ここまで夏油はほとんどすることが無くて、しっかりしてるなぁと二人揃って感心してしまう。
「はい、Aちゃん!」
「………?」
パッと手を出した如月に、Aは首を傾げた。
「おてて、出してごらん?」
「………こう?」
「そう!はい、さようなら!」
そう言って、如月はぽんぽんと優しくハイタッチをした。
「……さよーなら……」
「また明日ね!」
「…………うん。」
Aは一度頷くと、パタパタと車の方に走っていく。夏油と如月はそんな彼女の姿を見送った。
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吹雪 - 36話はちょっぴり泣いちゃったけど、37わの七海さんの舌打ちとかあと出しはなしとかで涙が吹き飛びましたよ! (2022年9月6日 20時) (レス) @page38 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - ほんとにこの小説大好きすぎて最新話まで何回も読み返しました😂💕 (2022年4月11日 22時) (レス) id: 38495df96a (このIDを非表示/違反報告)
細かくてすみません。 - 13話の「浴室に座る」という部分、「湯船に浸かる」か「浴槽」ではないでしょうか?
20話は「郵送」ではなく「配送」ではないでしょうか?
こういう夢主子育てもの大好きです。更新楽しみにしてます♪ (2021年4月14日 17時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 五条先生のパパ好きすぎる(*´ー`*)立派な親バカですねww夢主ちゃんがこれからどう成長していくのが楽しみです。更新頑張ってください! (2021年4月10日 22時) (レス) id: fbb43f1a3d (このIDを非表示/違反報告)
ハニー - 面白いです!更新頑張ってください! (2021年4月7日 6時) (レス) id: b6d2dcf77b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年4月5日 3時