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「今日からうさぎ組に新しいお友達がやってきまーす!五条Aちゃんです!」
「…………は、じめまし、て…………」
「Aちゃん、ちょっと恥ずかしがり屋さんだけど、みんな仲良くしてあげてね?」
「「「はーい!」」」
同い年くらいの子供たちが元気よく手を上げる。歳の近い子供なんて一番近くて伏黒くらいだった。どうしていいのか分からないまま、朝の会が終わってしまった。
「Aちゃん、なんでかみの毛のいろくろじゃないの〜?」
「……パパに似たから。」
「Aちゃんのぱぱすっごくいけめんさんだったよ!がいこくじん?」
「……………日本人………だと思う………」
「目の色もちがーう!」
「なんか変だよ!」
一人、誰だか分からない子供の発したその言葉がグサリと彼女の心に突き刺さった。子供にとっては何気ない咄嗟に出た言葉でも、彼女にとっては重く鋭い言葉。
母親にどれほど言われてきたことだろうか。父親に似てしまったばかりに母親に何度も叩かれた。
"「あんた見てるとあのムカつく男を思い出すわ………ほんと、目障りなのよ。」
「あんたのその見た目のおかげでこっちが迷惑してるのよ!!!」
「もっと普通に生まれて来れなかったわけ!?」"
母親に言われた言葉の数々が頭をよぎる。しかし、子供たちはそんなの全く気にしない。
「ままがいってた!かみは、そめたらちがう色になるんだよ!」
「Aちゃん、そめたのー?」
「ぱぱとおそろい?」
「でもこどもはそめちゃだめなんだよ!」
「………産まれつき。」
「うそだー!!!」
会話のレベルがあっていないというよりかは、彼女が大人っぽすぎる。如月はそれに気づいてAを囲む子供たちに近寄った。
「みんな〜髪色や目の色は遺伝って言ってね、お父さんやお母さんにそっくりになることがあるんだよ!」
「そうなのー?」
「うん、そうなの。だからAちゃんの髪も目もぱぱにそっくりなだけなんだよ!」
「そうなんだ〜」
子供たちは特に興味がなさそうに返事をした。それとは裏腹に、Aの手はぷるぷると震えていた。
「……Aちゃん、こっちおいで。」
如月はAに手招きをすると、そのまま彼女を連れて教室を出た。彼は問題を抱えた子供を受け持つのは初めてで、どう扱っていいか分からなかった。
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吹雪 - 36話はちょっぴり泣いちゃったけど、37わの七海さんの舌打ちとかあと出しはなしとかで涙が吹き飛びましたよ! (2022年9月6日 20時) (レス) @page38 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - ほんとにこの小説大好きすぎて最新話まで何回も読み返しました😂💕 (2022年4月11日 22時) (レス) id: 38495df96a (このIDを非表示/違反報告)
細かくてすみません。 - 13話の「浴室に座る」という部分、「湯船に浸かる」か「浴槽」ではないでしょうか?
20話は「郵送」ではなく「配送」ではないでしょうか?
こういう夢主子育てもの大好きです。更新楽しみにしてます♪ (2021年4月14日 17時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 五条先生のパパ好きすぎる(*´ー`*)立派な親バカですねww夢主ちゃんがこれからどう成長していくのが楽しみです。更新頑張ってください! (2021年4月10日 22時) (レス) id: fbb43f1a3d (このIDを非表示/違反報告)
ハニー - 面白いです!更新頑張ってください! (2021年4月7日 6時) (レス) id: b6d2dcf77b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年4月5日 3時