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「僕と帰ろう。帰ったら、君が見えてる気持ち悪いものについて教えてあげるよ。」
「………み、えてるの……?」
「もちろん。君……Aについて教えてあげる。あと、僕の友達にも紹介してあげなきゃね。」
このくらいの子供は抱っこをすれば喜ぶのだろうかと五条は立ち上がると、彼女の隣に移動する。そこで気づいたのは、少し震えているというところだ。
「………僕のこと、怖い?」
「…………ううん。」
嘘はついていなさそうだ。でも、やっぱり何かおかしい。
「……ちょっとごめんね。」
考えたくもない事態が頭を過り、彼女の腕を優しく掴んで袖をめくる。青黒くなった痣に、かすり傷など、ちょっと転んで着いた傷と言うには酷すぎる傷が所々に着いていた。腕でこれだけなら、身体はどうなのだろう。
虐待、最悪の言葉が浮かんでくる。
「……これ、あの女にやられたの?」
「………まま、と、ままといっしょにくる男の人。」
「…………そう。いたい?」
「………分かんない。」
感覚が麻痺しているのか、彼女はそう言った。その痛みが当たり前になってしまっているようだ。こんな傷痛くないはずもない。
「………辛かったね。大丈夫。僕は君に何も酷いことはしないよ。僕の友達ともすぐ仲良くなれるよ。」
「………ほんと?」
「もちろん。だから、僕とお家に帰ろ?」
「……………うん。」
少し遠慮気味に頷いた彼女に、五条は微笑んだ。もしかしたら怖いかもなと思った五条はつけていたサングラスを外す。
「……おなじ……色。」
「そうだよ。Aの目は綺麗な蒼色だね。」
「……ぱ、ぱも、きれいな色……」
「ありがとう。さ、おいでA。」
腕を広げて見せるも、彼女は首を傾げるだけだ。そうか、抱っこやおんぶもしてもらったことなんてほとんどないのか。
「抱っこ、してあげるから。こっち来てみ。」
五条がそう言うと、Aは恐る恐る彼に近づいた。五条は怖がらせないようにそっと彼女を抱えて立ち上がる。少し高すぎるせいか、きゅっと目を瞑る。
「大丈夫だよ、落っことしたりしないから。」
「……うん。」
「よし、行こうか。」
子育てなんてしたことないし、する気もなかった。その子供を本家に押し付けることも出来たのに、五条はなぜだかその子を自分の手で守ってみたいと思ってしまった。
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吹雪 - 36話はちょっぴり泣いちゃったけど、37わの七海さんの舌打ちとかあと出しはなしとかで涙が吹き飛びましたよ! (2022年9月6日 20時) (レス) @page38 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - ほんとにこの小説大好きすぎて最新話まで何回も読み返しました😂💕 (2022年4月11日 22時) (レス) id: 38495df96a (このIDを非表示/違反報告)
細かくてすみません。 - 13話の「浴室に座る」という部分、「湯船に浸かる」か「浴槽」ではないでしょうか?
20話は「郵送」ではなく「配送」ではないでしょうか?
こういう夢主子育てもの大好きです。更新楽しみにしてます♪ (2021年4月14日 17時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 五条先生のパパ好きすぎる(*´ー`*)立派な親バカですねww夢主ちゃんがこれからどう成長していくのが楽しみです。更新頑張ってください! (2021年4月10日 22時) (レス) id: fbb43f1a3d (このIDを非表示/違反報告)
ハニー - 面白いです!更新頑張ってください! (2021年4月7日 6時) (レス) id: b6d2dcf77b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年4月5日 3時