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「あれ、七海だけかい?」
教室の扉が開き、そこに立っていたのは夏油だった。
「夏油さん……!」
「はは、助かったって顔してるね。」
「灰原のように下に兄妹がいるわけじゃないので……」
「それは私も同じだよ。灰原は?」
「家入さんのところに髪ゴムを貰いに行きました。」
「髪ゴム……?」
「この子の髪を結ぶらしいです。」
「あぁ、なるほど……A、昨日ぶりだね〜私の事覚えてるかな?」
Aの前にしゃがみ、にっこりと笑顔でそう訊ねる。
「………前髪のひと…」
「…………それ悟に言われた?」
「………うん。そうやっておぼえれば良いよって。」
「………そうか。うん、前髪の人よりも傑くんって呼んでくれると嬉しいな。」
「……すぐるくん……?」
「そうそう。」
顔はニコニコとしているが、心の中ではどうやって五条を絞めてやろうかを考えていた。前髪の人と実の娘に教えこんだ罪は重い。
「お待たせ〜……あ!夏油さん!!お疲れ様です!!」
「お疲れ様。あ、これ差し入れのコーラ。Aにはオレンジジュース買ってきたよ。」
「おれんじ………」
「そ、オレンジ。昨日悟に飲ませてもらわなかった?」
「………もらった。」
「それとはちょっと違うけど、きっと美味しいと思うよ。」
「ありがとうございます!!!」
「ありがとうございます。」
「いいえ。じゃあ私はまだ仕事残ってるから。また後で様子見に来るね。」
去り際にぽんぽんとAの頭を撫でると、彼は教室を出ていく。
「よし!クシとゴムも借りてきたことだし、どんな風に結ぼうか。二つ?それともポニーテール?あ、三つ編み?」
「聞いても分からないでしょう。」
「あ、それもそうか……じゃあ無難にツインテールしようか!」
「……うん。」
灰原はAの後ろにしゃがむと、ルンルンで髪をクシで梳かした。
「わ〜サラサラ!綺麗だね〜!」
「はい、ジュースです。ストロー通してありますから強く抑えないように。中身が溢れてしまいますから。」
「……うん。……あ、りがとう……ございます……?」
これで本当にあっているのだろうかと不安になりながらそう言うAが可愛らしく思えた。七海は少し口角を上げて頭を撫でてやる。
「どういたしまして。」
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吹雪 - 36話はちょっぴり泣いちゃったけど、37わの七海さんの舌打ちとかあと出しはなしとかで涙が吹き飛びましたよ! (2022年9月6日 20時) (レス) @page38 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - ほんとにこの小説大好きすぎて最新話まで何回も読み返しました😂💕 (2022年4月11日 22時) (レス) id: 38495df96a (このIDを非表示/違反報告)
細かくてすみません。 - 13話の「浴室に座る」という部分、「湯船に浸かる」か「浴槽」ではないでしょうか?
20話は「郵送」ではなく「配送」ではないでしょうか?
こういう夢主子育てもの大好きです。更新楽しみにしてます♪ (2021年4月14日 17時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 五条先生のパパ好きすぎる(*´ー`*)立派な親バカですねww夢主ちゃんがこれからどう成長していくのが楽しみです。更新頑張ってください! (2021年4月10日 22時) (レス) id: fbb43f1a3d (このIDを非表示/違反報告)
ハニー - 面白いです!更新頑張ってください! (2021年4月7日 6時) (レス) id: b6d2dcf77b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年4月5日 3時