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「夏油様〜!」

「こらこら、ちゃんと頭拭きなさい。」

「拭いて!」

「お姉ちゃん、私の拭いて。」

「……ん、いいよ。」





ソファーに並んで座り、その足元に2人が座る。ゴシゴシと頭を吹いてドライヤーをかけるが、Aは他人の髪を乾かしたこともないので少しおぼつかない。それでも何とか乾かすことが出来た。





「じゃあ、私もお風呂に入ってくるよ。その後晩御飯を作ってあげようね。」

「……私、やろうか。」

「……え、できるの?」

「まぁ、簡単なものなら。」





しかし、よく良く考えればそれもそうかとも思う。彼女は自分でなんでも出来なければならなかったのだ。親にはろくな物も食べさせて貰えなかっただろうし、それでも生きるためには食事が必要だ。

少し心配だが、せっかく彼女がこう言ってくれているのだから断るわけにもいかない。





「……なら、お願いしようかな。冷蔵庫のものは勝手に使っていいよ。分からないことは二人に聞いて。」

「ん。」

「ねぇ、何作るの?」

「何食べたい?食材があれば作れるものは作れるけど。」





彼女らのそんな会話を背にして、夏油はリビングを出る。本当に大丈夫だろうか、と少しの不安を胸にして。

そんな心配など露知らず、リビングでは冷蔵庫の中身を物色し何を作ろうかと悩んでいるAの姿があった。





「………シチューにでもする?」

「シチュー!食べたい!」

「シチューの素あるよ。」

「じゃ、シチューね。」





冷蔵庫から食材を取り出して、まな板と包丁の場所を二人に聞くと、手際よく野菜を切っていく。その作業にはもう慣れた。

それを鍋で煮込んでいるところに、ガシガシと頭を拭きながら夏油がリビングに入ってくる。





「何作ってるんだい?」

「お姉ちゃんがシチュー作ってくれてるの!」

「シチューか。いいね。」

「ちょっとしたら出来るよ。」

「何かお手伝いする?」

「……じゃあ、混ぜる?」

「混ぜる!」

「焦がさないよう気をつけてね。」

「私は何をすればいい……?」

「お皿洗うからそれ拭いて。」

「私は何をしようか?」

「髪乾かして。」

「あ、はーい。」





そりゃそうだ、と夏油は舌をペロッと出しながら笑い、ソファーに座って髪を乾かした。今日会ったばかりの彼女らだが、もう既に本物の姉妹のようだ。

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まゆゆ - 続編ですか! これからも頑張ってください(≧▽≦) (2021年3月13日 20時) (レス) id: 65cce41a2e (このIDを非表示/違反報告)
低体温(プロフ) - 更新される度読むのが楽しみです!!更新頑張ってください!! (2021年3月6日 4時) (レス) id: df64c86b58 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっさっさ - めっちゃ好きです!!更新頑張ってください! (2021年2月24日 21時) (レス) id: 092bd421d4 (このIDを非表示/違反報告)
雪マカロン - 面白いです!更新頑張ってください! (2021年2月23日 16時) (レス) id: c9091179e7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - こういう系のお話めちゃめちゃ好きです! 推します! (2021年2月23日 15時) (レス) id: 70b578b6e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月23日 12時

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