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あちこち探し回り、共有スペースの前を通りかかると珍しく目隠しを外した五条と、うんうんと五条の話を聞いている夏油の姿があった。
正直めちゃくちゃ行きたくない。でも行かなければいけない。小さくため息をついて二人の方へと近づいた。
「五条さん。」
「……恵……」
「やぁ、恵。Aは?」
「さっきまで話してたんですけど、寝ちゃいました。だから、五条さんの様子を見に。」
「……………A、なんか言ってた?」
「……なんというか……俺もちゃんとは話してないんです。ただ、頷いたりとかしてるだけで。……でも、五条さんのこと怖いかって聞いたら、分からない、とは言ってましたね。」
伏黒のその言葉に、そっかぁ……と小さく呟いて、顔を両手で覆いグッとソファーの背もたれに寄りかかると、上を向いたまま大きくため息をついた。
怖い、と言われなかっただけまだマシだろう。ただ、これからどうなるかは分からない。次会う時に拒絶されるかもしれない。そんなの生きていけないに決まってる。
「………僕が死んだらあとの事よろしく。」
「はやいはやい。」
「でも、いつもの調子で近づかないようにしてくださいね。ただでさえあんた図体デカいし見た目も怪しいんだから。」
「恵って僕のこと慰めに来たんじゃないの?」
「慰めませんよ。あいつに手上げといてよく慰めて貰えると思いましたね。あいつに非があったとしてもやっちゃいけないことですよ。」
「……ごもっともデス。」
「……まぁでも、今回のことは少しばっかり俺も腹は立ちました。俺でこれならあんたはめちゃくちゃ腹たっただろうなって事も分かります。……でも、そんときにちゃんと向き合って話をしてやるのってあんたにしか出来ないことですよ。俺らじゃ意味が無い。
間違いを訂正して道を正してやるのは難しい。けどきっかけさえあれば誰でも出来る。でも、それを最後まで導いてやるのは
だからこそ、今はあんたに腹が立ってる。伏黒はそれだけ言うと、まだ何か言いたそうではあったが、その気持ちを飲み込んでその場を後にした。
「……僕にしか出来ない、か……」
「……恵は恵で、お前のこと心配してるんだよ。くれぐれも、いきなり抱きついたりしないようにね。」
しないよ。そう言って、五条は首にかけていた目隠しを付け直した。
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emma(プロフ) - 初めまして!この作品が大好きです!結婚で騒ぐけどバージンロードきめきめで歩いちゃう悟パパも、なんなら妊娠で絶望するけど孫にデレデレになっちゃう悟じいじも見たいです!!笑 (2021年7月10日 23時) (レス) id: 4643ab1372 (このIDを非表示/違反報告)
朱夏(プロフ) - 初めまして!初めてコンメントさせていただきます!この作品ほんとに大好きで、特に伏黒くんとくっつくところはもう死ぬくらい好きでしょうがないんですよね!だから結婚後まで書いて欲しいです!いくら長くても付き合います!主様が良ければ書いて欲しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: c2a1b68a40 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 結婚まで続けて欲しいです! (2021年7月10日 22時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
かれ(プロフ) - 初めまして,いつも楽しく拝見させていただいています。個人的にはこのまま伏黒との結婚まで続いてほしいなぁという思いです。作者さんの作品は誰も死んだらしないので悲しむこともなく安心して読めます。これからも無理のない程度に投稿してもらえたら嬉しいです。 (2021年7月10日 22時) (レス) id: 0a939cc9b5 (このIDを非表示/違反報告)
らっかせい - 続いて欲しいですわー!!いつも観てますーー!!お久しぶりですーー!!(語順逆で.すいません) (2021年7月10日 21時) (レス) id: ac50ef14ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月12日 2時