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「Aちゃん……!」

「真理子おばさん……!」





凍氷家新本館。彼女は真理子と呼ばれた女性に抱きつくと、ぎゅっとその体を抱きしめた。





「良かった……無事で……あなた達まで死んでしまったなんて事になったら、私は……」

「僕も昭義兄さんも無事だよ……おじさんは……」

「A……!無事でよかった……!」





奥から出てきた男性。恐らく、叔父だろう。彼は彼女を抱きしめると、夏油の存在に気づく。





「君は……もしかして、夏油くんかい?」

「あ、はい。夏油傑と言います。」

「はじめまして。兄さんから話は聞いてるよ。凍氷誠一郎の弟の慎一郎だ。」

「妻の真理子です。」

「はじめまして……」

「……ごめんね、二人にあとを任せてしまって………遺体は高専で引き取ったよ。………葬式は………出来ないけど………」

「あなたが気を病むことじゃないわ。」

「納骨も……夜蛾先生に……ごめん、勝手に……」

「……いいんだ。お前と昭義が無事でよかった。後のことは俺たちに任せておけ。お前の部屋も、昭義の部屋も、綺麗にして待っておくから。お前も、たまには帰ってきておくれ。」

「……うん。」





誠一郎とよく似た笑顔を浮かべて、彼女の頭を優しく撫でる。元気そうな二人の姿に、Aは安心したようにほっと息を吐いた。





「わざわざ来てくれてありがとう。夏油くんも、ありがとうね。」

「いえ、私にはこれくらいのことしか出来ませんから……」

「……そろそろ、行くよ。ごめんね。」

「ううん。ありがとう。……また、お手紙書くわね。」

「うん……」





もう一度真理子を抱きしめたAは、そのまま背を向けて元来た道を歩いた。





「もう良かったの?」

「……うん。顔見れたから。」

「………お葬式、しなかったんだね。」

「………うん。兄さんも今のままじゃ葬式に出られないし、屋敷の事もあるしね………僕の我儘だよ。」

「……いや、きっとその方が良かったよ。」

「………うん。」





彼女の手を優しく握ると、キュッと握り返してくる。小さな手。この小さな手で、これから抱えきれないほど大きなものを持つことになる。

一族の当主とは、どれだけ重たいものなのだろう。

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moo(プロフ) - まさかの展開に驚きました!幸せ家族で良かったです! (8月9日 3時) (レス) @page46 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - いきなりすみません…すっごく面白くて、楽しませて貰ってます!!応援してます!!更新頑張って下さい! (2021年3月3日 9時) (レス) id: 674eb44c7b (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 多分ですけど上の連中が練習になってます! (2021年2月26日 23時) (レス) id: 46e621c864 (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - 花蛸花さん» わざわざありがとうございます!そのお話、楽しみにしてます!! (2021年2月26日 0時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - あの、質問なんですけど、いつ美々子と菜々子を助けたんですか?最新読んで「その話あったかな……?」と思ってしまいまして……夏油さん推しなのでみんなハッピー状態なのがすっごい見てて幸せになりました!! (2021年2月25日 22時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月22日 2時

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