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「兄さん……!」

「A……!」





翌日、病院に行けば、2人は互いの存在を確認し合うように抱きしめ合う。





「よかった……無事で……お前が無事で……ほんとによかった………」

「昭義さん、怪我の具合はどうですか?」

「あぁ……おたくの硝子ちゃんのお陰で助かった。」

「……兄さん……いったい、なにが……」

「………雅志だ。気づいてるだろ、お前も。」

「そうじゃなくて、なんで……!」




泣きそうになるのをグッと堪えるようにして、昭義の来ていた入院着の袖をきゅっと掴んだ。





「……俺達も父さんたちも、誰も気づかなかったんだ。気がついたら、父さんの首が飛んでいた。誰も状況が把握できなくて、気がついたら俺の腹は切られ、気絶させられた……………雅志が、どんな意図を持ってあんな事をしたのか知らねぇ。………でもあいつは……もう呪詛師だ。」

「………………」




呪詛師。その言葉は重く彼女にのしかかった。何が雅志をそうさせたのか、全く分からない。





「…………俺が直ぐに死ななかったのも、この術式のおかげだな。」

「………家は、どうなるの。」

「………父さんが死んだ以上、お前が当主になる。屋敷にも今清掃に入ってもらってる。叔父さんと叔母さんが来て、使用人総出で片してくれてるらしい。……これからは、叔父さん達のいる別館が本館になるだろうな。」

「……………そう。」

「………雅志は、今もまだ見付かってない。」

「………兄さんは、きっと殺されない。狙われるとするなら僕だ。」

「………その時お前はどうする。」

「………………………呪術規定に基づき、その場で捕縛、もしくは………処刑する。」

「…………そうか。」





昭義はそれ以上何も言わなかった。いや、言えなかったの方が正しいだろうか。相手はもう兄である以前に、"呪詛師"なのだから。





「………報告書を書くからもう帰る。お大事に。」

「……あぁ。」





Aは昭義に背を向けたあと、振り向きもせず病室を出ていった。





「……あいつを頼むぞ、夏油。」

「……はい。」





夏油は彼に向かって頭を下げると、彼女の後を追うように病室を出ていった。





「………雅志………お前は………何考えてやがんだ………?」





昭義のその言葉は、誰の耳にも届かぬまま消えていった。

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moo(プロフ) - まさかの展開に驚きました!幸せ家族で良かったです! (8月9日 3時) (レス) @page46 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - いきなりすみません…すっごく面白くて、楽しませて貰ってます!!応援してます!!更新頑張って下さい! (2021年3月3日 9時) (レス) id: 674eb44c7b (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 多分ですけど上の連中が練習になってます! (2021年2月26日 23時) (レス) id: 46e621c864 (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - 花蛸花さん» わざわざありがとうございます!そのお話、楽しみにしてます!! (2021年2月26日 0時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - あの、質問なんですけど、いつ美々子と菜々子を助けたんですか?最新読んで「その話あったかな……?」と思ってしまいまして……夏油さん推しなのでみんなハッピー状態なのがすっごい見てて幸せになりました!! (2021年2月25日 22時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年2月22日 2時

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