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｢A……！｣
｢A、おい、大丈夫か？｣
夏油と最近東京に引越し高専で働き始めた甚爾は数十分後に到着した。夜蛾は数名の補助監督を連れて庭の方へまわると、縁側から中に入っていく。
｢……と、じさ……すぐる……｣
玄関の前で、慶彦の写真を抱えて座り込む彼女の背を撫でる家入。その二人の前にしゃがむと、彼女は甚爾の服の袖を掴んた。
｢雅志にいさんが……兄さんが、みんなを……！｣
｢……中どうなってんだ。｣
ガラッ！と玄関を開けた甚爾は、目を見開いた。見慣れた使用人たちがゴロゴロと転がり、そのすぐ側には明美の死体があった。
｢………なんだこれ。｣
｢………甚爾さんは中を。｣
｢……おぉ。｣
｢私、昭義さん放ったらかしで来たから、夜蛾先生に言ってくる。病院連れてかなきゃ。｣
｢わかった。……A、私と高専に帰ろう。｣
｢…………いやだ。兄さん……昭義にいさんは……？｣
｢……近くの病院に運ばれるはずだよ。落ち着いたら、お見舞いに行こう？私も一緒にいるからね。大丈夫だよ。昭義さんはちゃんと生きてる。硝子も応急処置をしてくれてるはずだ。｣
さ、いこう。と夏油は彼女を抱えて車に乗る。その肩は微かに震えていて、いつもより小さく感じてしまった。
｢すみません、高専まで送って貰えますか。｣
｢分かりました。｣
車の中にいる間、彼女は慶彦の写真をずっと眺めていた。写真は誰のものかも分からぬ血で真っ赤に染まり、彼女の手も血まみれだった。
｢……帰ったら新しい写真立てに変えようか。｣
｢……うん。｣
なんと声をかけていいかわからず、無言のまま高専についた。彼女を寮まで運び、シャワーを浴びるように言ってその間にコーヒーをいれる。
｢おかえり。さ、こっちにおいで。髪乾かすから。｣
｢……いい。｣
｢風邪をひいてしまうよ？あ、昭義さん、病院に運ばれたらしい。今は安定してる。すぐに目を覚ますって。｣
｢………生きてる………？｣
｢うん。生きてるよ。｣
まだ濡れたままの頭を優しく撫でてあげると、安心したのか、涙を流した。泣いてる彼女を見るのは初めてで、ドキッと心臓が音を立てる。
トキメキ、なんて可愛いもんじゃない。どうしていいのか分からなくて、一瞬血の気が引いた。
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moo(プロフ) - まさかの展開に驚きました！幸せ家族で良かったです！ (8月9日 3時) (
レス) @page46 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - いきなりすみません…すっごく面白くて、楽しませて貰ってます!!応援してます!!更新頑張って下さい！ (2021年3月3日 9時) (レス) id: 674eb44c7b (このIDを非表示/違反報告)
レナ(プロフ) - 多分ですけど上の連中が練習になってます！ (2021年2月26日 23時) (レス) id: 46e621c864 (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - 花蛸花さん» わざわざありがとうございます!そのお話、楽しみにしてます!! (2021年2月26日 0時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
Tyina(プロフ) - あの、質問なんですけど、いつ美々子と菜々子を助けたんですか?最新読んで「その話あったかな……?」と思ってしまいまして……夏油さん推しなのでみんなハッピー状態なのがすっごい見てて幸せになりました!! (2021年2月25日 22時) (レス) id: 7eae784acc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年2月22日 2時
