坂口(妹)-2【文スト】 (ページ10)

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｢ほう……確か君は、ポートマフィアのデータベースに侵入したという報告があったねぇ。そんなにうちの情報に興味がおありかい？それなら、ポートマフィアに入れば何時でも見られるよ。君ほどの能力があれば、直ぐに昇格できる。何せ、我々の情報員が侵入に気付けない程だからねぇ。｣

森がにこにこと笑う。しかし、Aはその誘いには乗らないだろう。そんなもの、中原にだってわかった。

｢別にあなた方の情報に興味がないわけではありませんが、それを外に持ち出そうなんて思いませんよ。面倒ですし。一番興味があるのはシステムです。そして、それらを知りたいと言う好奇心と、ポートマフィアへの加入の件は全くの別物です。｣

｢う〜ん。君を誘うのは難儀だねぇ。然し、今日の目的はお茶会と君へのお礼だからね。｣

森は困ったように笑ったあと｢いいよ、許可しよう。お茶会の後、中也くんに案内してもらいなさい｣と頷いた。｢よろしいのですか？｣中原が尋ねた。

｢彼女が情報を外に持ち出す可能性は少ない。そんな事する気があるなら、とっくにしてるだろうしね。万が一情報が漏れたら……一番に疑われるのは彼女だ。彼女は賢いからね。その位承知している。そうだろう？｣

｢そこまで莫迦じゃないです。｣

｢その返事を聞けて安心したよ。｣

森はまた小さく笑った。｢もう行ってくれて構わないよ。エリスちゃんも待ち遠しくてたまらないだろうからね｣森の言葉に、中原が頭を下げる。

｢行くぞ。｣

｢失礼します。｣

Aもまた小さく頭を下げて執務室を後にした。

｢手前、他に何かなかったのか？｣

｢何がですか？｣

｢もっと頼むことあったろ。自分の身を守る好機(チャンス)じゃねぇか。勧誘を辞めてくれとか。｣

｢……考えてませんでした。｣

｢はぁ………？｣

中原は思わず素っ頓狂な声を漏らしてしまう。当たり前だ。一番は自分の保身を守るのが普通なのだから。彼女は言葉を続けた。

｢別に、私は今のところ探偵社に拘りがある訳じゃないんです。この異能を好きになれれば、何処でも良かった。探偵社を馘首(クビ)になったら、ポートマフィアへの加入も考えなくもないですね。｣

そう言って、彼女は眼鏡を押し上げながら笑った。中原は目を見開いたあと、小さく笑う。

｢愛着が湧くが先か、馘首になるのが先か。見物だなぁ。今すぐ馘首になれるようにしてやろうか？｣

｢最悪すぎでは？｣