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「A、早く出てきなさい。帰りますよ。探偵社の皆さんにも御迷惑がかかります。」
「私、無理やり連れてこられた側なんだけど。」
「……?太宰くんからは、貴方を保護したと連絡を貰っていますが。」
Aと坂口、そして探偵社員たちの視線が太宰へと向く。その中でも、Aからの視線は冷たかった。然し、この男がこの程度でめげる筈もない。少し頬を赤らめて、腰をくねらせ、両手を頬に当てた。
「そんなに見詰められると照れるのだけれど……」
「頬を赤らめるな気色悪い。太宰、お前話と違うぞ。」
「坂口さん、Aさんは太宰さんが無理やり探偵社に連れてきてしまって……久しぶりに会うからとかどうとかって……」
「だぁって真逆五年ちょっとでこんな美人さんに育つなんて思わないじゃないか!どうAちゃん、やっぱり私と心中しない?♡」
「触らないでください。」
「君から私を盾にしてきたんだけど?なんなら君から私に触ってるんだけれど………あ、もしかしてこれが今流行りのツンデレかい!?益々くるね!!心中するかい?」
「喋らないでください。」
「ん〜でもちょっとツンが多いかもしれないね!デレはないの?それともツン多めのツンデレタイプ?メンタルやられちゃうね。でもそれも良い!!心中するかい?」
「太宰くん、それはツンデレではなく本気で嫌がられてるんですよ。」
もはや鳴き声なのではと思うほど「心中」を連呼する太宰を無理矢理押しのける。
「さぁ、帰りましょう。今日の埋め合わせは必ずしますから。」
「聞き飽きた。」
「じゃあ、帰りに鰻でも食べて帰りましょう。あのお店の鰻重好きでしたよね?あ、新しいクラシックのCDも買って帰りましょうか!」
誰がどう見ても、"必死"の一言に尽きる。これがあの異能特務課参事官補佐の坂口安吾なのだろうか。もしや変な異能にかかったのか、もしかしたら偽物なのかもしれない。疑いたくもなるだろう。インテリでミステリアスな大人の雰囲気を漂わせるいつもの彼からは少しも想像できないほど腰が低い上、必死すぎて見るに堪えないほど情けなく思えてしまう。
あ、これ妹の尻に敷かれてるやつだ。弊社の兄妹とはまた違うタイプの兄妹ではあるが、概ね同じだという事に気がついてしまった。正直気付きたくなかった。
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琉亜 - うち的にはもうちょい安吾との絡み見せて頂きたい (2023年2月23日 23時) (レス) @page7 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月29日 1時