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「今日はいい天気だね〜!実にいい自 殺日和だ!!」





ぐっと伸びをして、今日はどんな自 殺法を試そうかなどと考えながら、太宰は公園のベンチに腰掛けていた。公園にはほとんど人が居ない。当たり前だ。平日の午前中。学生は学校へ、社会人は会社へ行く。ならばこの男はと言うと、呑気にサボりだ。この時間いるとすれば、逢引(デート)中の恋人(カップル)や散歩中の御年寄、学校をサボっている学生。そしてこの平和な公園でも、時々恋人同士の痴話喧嘩が行われることは多い。

例えば、浮気がどうとかとか、結婚がどうとかとか。この都市で喧嘩なんて日常茶飯事だ。そして今、太宰はそれを目の当たりにする。と言ってもいつもの事だが。





「はぁ!?また!?今月五回目よ!」





視線の先には、黒髪の女性が立っていた。正確に言えば、後ろ姿なのでそれが本当に女性と言えるほど成長しているのか、はたまた成長しきっていない少女なのかは分からない。彼女は何やら電話の相手と揉めているようだ。大方、ドタキャンだろう。それも今月五回目の。相手は男だろうか。だとしたら不運なものだ。きっと彼女は遊ばれているのだろう。しかし、太宰はそれをBGMにふんふんと鼻歌を歌っていた。彼女が美人なら心中にお誘いしちゃおうかな、くらいにしか思っていない。

スタイルは中々のものだ。スキニーパンツが良く似合う長くすらっとした脚。それを更に引き立たせるヒールの高いブーツにきゅっとしまったウエスト。うん、なかなかのスタイルだ。美女でありますように♡なんてそれを眺めていると、不意に彼女は振り返った。どこかで見たような顔だった。そして、誰かに似ている。

少し癖の着いた長い黒髪、垂れ気味の黒い目に口の右上にある黒子。一先ず、美女であることは確認出来た訳だが、どこかで見たような気がするし誰かに似ている気もする。太宰はうーん、と首を捻り、やっとこさ浮かび上がってきたのは、坂口安吾だった。

それと同時に過去の記憶がフラッシュバックする。そして、極めつけは彼女の口から発せられた言葉だった。





「あっそ、もういいです。安吾兄さんなんて知らない!そのまま仕事のしすぎで禿げれば良いのよ!!!」





そうだ、思い出した_____

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琉亜 - うち的にはもうちょい安吾との絡み見せて頂きたい (2023年2月23日 23時) (レス) @page7 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月29日 1時

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