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「………想像妊娠かい?」
「はっ倒すよ。」
次の日、探偵社に出向いてみればこれだ。写真を見ながらわなわなと震えている太宰は、中原の時と同じように写真と彼女を交互に見た。そしてその後、彼女の腹を触る。
「この薄い腹にいるのかい?」
「いるよ。」
「Aの子供だと喜ぶべきか………中也と血が通っていることを嘆いて川に飛び込むべきか……」
「喜びながら嘆いて川に飛び込めば?」
「ナイスアイデアだ!!!よし!!!入水!!!!」
太宰はそう叫んで探偵社を飛び出した。止めるものは誰もいない。何故ならみんな彼女の周りに群がっているからだ。
「A!おめでとうございますわ!」
「体調は大丈夫?悪阻とか……」
「今のところはないから、ご心配なく。」
「……赤ちゃん……男の子?女の子?」
「鏡花ちゃん、まだ分からないよ……でも、おめでたいですね!」
「田舎で採れたお野菜、今度持っていきますね!栄養満点ですよ!」
「子供が産まれたら連れてくるんだよ!いいね!」
「御祝儀の相場は………書いてない……だと……!?俺とした事が!!!」
手帳を見ながら頭を抱える国木田。敵組織の長が身篭ったというのに本気でお祝いをしようとしてどうする。とはいえ、最近の探偵社とポートマフィアの仲は大変良好。やっている事は正反対であれど、この街を愛する気持ちは同じ。今の所、対立するほどの大きな問題は生れていないというのもひとつの原因だろう。
「然し、ポートマフィアの首領が身篭ったとなれば危険も大きい。こんな所にいていいのか?」
「大丈夫ですよ。そんなにすぐ露見するようなことでもありません。お腹もまだ出ませんし。一応、外に横光とルイスを待たせていますよ。」
中島が窓から外を見る。外に停められた黒い車によりかかりながら、横光とルイスがなにやら話していた。こちらの視線に気づいたのか、横光は小さく、ルイスは元気よくぶんぶんと手を振った。中島もそれに小さく手を振り返す。
探偵社が一気に騒がしくなる中で、与謝野が彼女に近寄る。
「太宰にだけ知らせるんじゃなかったのかい?」
「どうせ言いふらされるんですから。」
「それもそうだねぇ。………どうだい、産む決意をして、それを報告してみて。」
「そうですねぇ……まぁ、不思議な感覚、ですかね。」
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Napia - 完結おめでとうございます!! お疲れ様です!! 毎週のように「更新してるかな?」とウキウキしながらみてました!! 番外編も読みますぅ!! (2022年4月26日 16時) (レス) @page37 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます!ダントツで面白かったです!! (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: 9e178210e2 (このIDを非表示/違反報告)
クリスタルパワー(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いつも更新を楽しみにしてました!番外編があったら楽しみにしてます! (2022年4月23日 19時) (レス) id: 47ef91694a (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - 完結おめでとうございます〜!最初の頃からずっと応援していたので、見届けられてほんとに嬉しいですし、めちゃくちゃ面白かったです!番外編も楽しみにしてますね。 (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)
Hazuki(プロフ) - 凄く面白いです!15ページの「鼻歌」が「花歌」になっています…間違っていればすいません。これからも更新楽しみにしています!! (2022年4月21日 20時) (レス) @page15 id: 140c609c2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月16日 11時