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家に帰れば、彼女は一着ずつ服を出してそれを中原に見せていく。





「見て!これなんて可愛いと思わない?」

「似たようなの持ってなかったか?」

「そうだっけ?」

「そう。」

「じゃあ、こっちの靴は?」

「いいんじゃねぇの?お前によく似合う。」





そう褒めてやればそうだろうと言いたげに笑みを浮かべた。可愛いもんだな、と中原は笑みを浮かべる。沢山の箱、沢山のショッパーがある中で、その中でも小さな袋を中原に渡した。





「はいこれ、香水。」

「おぉ、ありがとうな。ちょうど無くなりかけてたんだ。」

「知ってる。ね、今つけてよ。」

「何処にも行かねぇだろ?」

「気に入らない匂いだったらつまらないでしょう?ほら、早く早く!」





確かに、自分の好みと違えば貰っても付けることがないので意味が無い。ただ、彼女が選ぶもので自分の好みと異なったものは今までひとつもないのだ。然し彼女に期待の眼差しで見られてしまえば、中原はそれを付けるしかないのだ。香水の瓶を箱から出すと、それを手首にふりかける。デザインも香りも好みと一致していた。





「いいじゃねぇか。」

「ほんと?」

「あぁ。俺好みだ。」

「良かったわ。」





彼女は中原の左手を取ると、手首に鼻先を近づける。心臓が跳ねる。中原はそれを表に出さないようにするのに必死だった。





「うん、いい香り。流石私。」

「自分で言うな。」

「却説、シャワーでも浴びてこようかな。なんだか疲れちゃって。」

「その前に服片せ。」

「中也さんお願ぁ〜い♡」





両手を合わせてお強請りをすれば、中原は深くため息をついた。それは了承の合図。Aはタオルと着替えを持って鼻歌を歌いながら風呂場へと向かい、中原は散らかった靴を箱に仕舞い、服とアクセサリーを手に持ち彼女の部屋へと向かった。一つずつ丁寧にクローゼットへと仕舞っていく。

また服が増えた。そのうち整理しないとな、なんて考えながら、最後に自分の部屋に向かって香水の瓶を机の上に置く。そこで、ふと太宰の言葉が頭をよぎった。

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Napia - 完結おめでとうございます!! お疲れ様です!! 毎週のように「更新してるかな?」とウキウキしながらみてました!! 番外編も読みますぅ!! (2022年4月26日 16時) (レス) @page37 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます!ダントツで面白かったです!! (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: 9e178210e2 (このIDを非表示/違反報告)
クリスタルパワー(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いつも更新を楽しみにしてました!番外編があったら楽しみにしてます! (2022年4月23日 19時) (レス) id: 47ef91694a (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - 完結おめでとうございます〜!最初の頃からずっと応援していたので、見届けられてほんとに嬉しいですし、めちゃくちゃ面白かったです!番外編も楽しみにしてますね。 (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)
Hazuki(プロフ) - 凄く面白いです!15ページの「鼻歌」が「花歌」になっています…間違っていればすいません。これからも更新楽しみにしています!! (2022年4月21日 20時) (レス) @page15 id: 140c609c2d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月16日 11時

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