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「
ばさり、布団を剥ぎ取られて、寝台で眠っていた少女は身震いをする。
「何するのよぱぱ!レディの布団を剥ぎ取るなんて……!」
少し癖の着いた金髪。目は少し垂れ気味で、青みがかった海のような瞳。どうにも朝に弱い彼女は、欠伸をしながら寝台からおりる。
「
「はーい。」
中原は彼女のいなくなった寝室で、寝台を綺麗にしてやる。結は今年で十歳になる娘だ。中原がリビングに向かうと、結に服を着せる少年の姿があった。
「
さりと靡く、絹糸のような朱色の髪。中原によく似た目と、宝石のような翡翠色の瞳の少年。唇には目立つか目立たないかほどに、朱色の口紅が塗られていた。
「いいじゃないか、お父様。貴方もお母様をよく甘やかしてるでしょうに。」
小学校の制服のリボンを締め終わったところで、「よし、いいでしょう」と頭を撫でてやる。彼は、十八になる息子だった。学校には通っていない。現在はポートマフィアの準幹部としてその母親譲りの頭脳を使い組織に貢献を齎している。異能力もまた、母親譲りだ。相手の目を見ることで真実を話させる異能力は、組織内で重宝された。
一方の結は異能を持たない。組織ではやっていけないだろう。そして、壊滅的な程に馬鹿だ。そのため、試しに学校に通わせてみた。どちらかと言えば子供らしい性格の彼女は学校でも上手くいっているらしい。将来的には、祖父である森の孤児院を継ぐ事になるらしい。本人もそれで了承している。寧ろ、私がやると聞かないのだ。
「ままはもう出かけたの?」
「今日は定期検診の後、墓参りに行くんだと。」
「五十手前にもなって、やることはよくやりますね。」
「何をやるの?」
「さぁ?」
「ねぇ教えて!!!」
「あ、そろそろルイス幹部が君を迎えに来る頃だ。お姉さんになる君は残さずご飯が食べられるかな?」
文和の言葉に、結は慌てて食事を摂る。結は昔のAにそっくりだ。一方の文和もまた、Aによく似ている。生意気なところとか。
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Napia - 完結おめでとうございます!! お疲れ様です!! 毎週のように「更新してるかな?」とウキウキしながらみてました!! 番外編も読みますぅ!! (2022年4月26日 16時) (レス) @page37 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます!ダントツで面白かったです!! (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: 9e178210e2 (このIDを非表示/違反報告)
クリスタルパワー(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いつも更新を楽しみにしてました!番外編があったら楽しみにしてます! (2022年4月23日 19時) (レス) id: 47ef91694a (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - 完結おめでとうございます〜!最初の頃からずっと応援していたので、見届けられてほんとに嬉しいですし、めちゃくちゃ面白かったです!番外編も楽しみにしてますね。 (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)
Hazuki(プロフ) - 凄く面白いです!15ページの「鼻歌」が「花歌」になっています…間違っていればすいません。これからも更新楽しみにしています!! (2022年4月21日 20時) (レス) @page15 id: 140c609c2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月16日 11時