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織田と彼女が約束を交わして直ぐ、ヨコハマを中心に大規模な抗争が行われていた。兄も中原も、尾崎も大佐も、そして最下級構成員である織田でさえも駆り出された。今日この日までの間に、数多くの犯罪組織が壊滅へと追いやられた。そのせいでポートマフィア内部は大忙し。Aも駆り出され、今では執務室と首領執務室を行き来している状態だ。

しかし、彼女はまだ齢十一の子供だ。





「もういや!!!」

「Aさん、そう言わず……」
「お願い致します……Aさんにしか……」

「どうして?どうして皆は大人なのにこんな簡単な事が出来ないの?可笑しいわよ!」





談話室にて、腕を組み頬をふくらませてそっぽを向く彼女に、彼女の目の前に控えていた部下たちが黙る。それは幼い少女が捌くには到底難しいものだろう。然し、彼女はいとも簡単に捌いてしまうのだ。彼女の部下として着くこととなった構成員達こそ、子供にこんな大役をやらせたいわけじゃない。然し残念なことに彼女がやるのと一環の、それも殆ど知識の無い構成員がやるとでは時間の差が大きすぎた。今は時間をかけている暇がないのだ。





「あ、後でアイスクリームを……!」

「いや!」

「では、西洋菓子を……」

「いやっ!!!!私はもう何もしたくない!!!仕事なんてしたくないの!!!!兄様にも中也にも紅葉お姉様にもとしちゃんにも会えない、織田作も居ない!!!!毎日毎日同じ事ばっかり!!!ヨコハマなんて滅んじゃえばいいんだわ!!!」





遂には地団駄を踏み出す始末だ。当たり前だ。この組織に来て間もない上に前回の暗殺王事件以上の損害があるため、この組織に来て以来初めての大仕事だ。ここ数週間、24時間の殆どが働き詰めだ。幾ら脅威的な頭脳を持っていたとしても、彼女はまだ幼い。睡眠時間以外をこんなにも仕事に費やすなんて普通はありえない話だ。睡眠だって殆ど取れていない上、起きていても寝ていても、彼女に危険が迫らぬようにと見知らぬ構成員を護衛に付けられる。外にだって碌に出られやしない。

大人にだって捌けない仕事をずっと捌き続けていればストレスも溜まるだろう。もう限界らしい。構成員たちが諦めかけていると、彼らの後ろから声がかけられる。

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月10日 12時

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