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暗殺王事件での始末書も彼女が捌いたと言うが、果たしてそれこそ本当かどうかも分からなかった。





「この子供があの暗殺王事件の始末書を捌ききったと聞くが……」

「ああ、本当だよ。私の妹は、私が思って居たよりもとても優秀でね。それでいて美しくその場に居るだけで場を華やかにさせてしまうのだよ!」

「………確かに、綺麗な顔だ。」





男___最下級構成員・織田作之助___はまじまじと彼女の顔を見た。普通の幼い少女ではあるが、普通じゃない。第一印象で感じられるその異様さは、その容姿だろう。幼いながらにはっきりとした顔立ちで、そのきらきらと光る紅玉(ルビィ)のような瞳は、覗き込めば吸い込まれてしまいそうな程に美しかった。彼女は、にこりと笑う。





「私、太宰Aというの。あなたは?」

「俺は織田作之助。ポートマフィアの最下級構成員だ。」

「あ!私貴方のこと知ってる!」





Aは身を乗り出してそう言った。「ほら、危ないよ」太宰が彼女を宥めて、椅子に座らせた。





「不殺のマフィア。銃を持っているのにその銃では絶対に人を殺さないって聞いたけど、それって本当?」

「ああ、本当だ。」

「でも残念、想像とはちょっと違うわ。」

「おや、そうなのかい?」

「もっと頼りなさそうで、びくびくしてて、細っこくてなんの特徴もなさそうな普通の人だと思ってたわ!」

「随分な物言いだねぇ。それで、実際の織田作はどうだい?」

「とっても素敵!面白そう!」

「そうだろう!流石私の妹、分かってくれると信じていたよ!」





太宰はAにすりすりと頬擦りをした。「あぁ、マスター。いつもの。彼女にも、なにか飲めそうなものを」「かしこまりました」マスターは冷蔵庫から林檎飲料(リンゴジュース)を取り出すと、それをグラスに移し、酒と共に出した。





「乾杯。」





Aの手が届く位置でグラスを掲げる。かちん、とグラスのぶつかる音が響いた。

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月10日 12時

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