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調査団は予想以上の収穫に喜び、ポートマフィアの全面的な協力に感謝し、去っていった。その翌日、彼女は鼻歌を歌いながら階段を降りていく。





「兄様!早く早く!」

「そんなに慌てなくてもヴェルレエヌさんは逃げないよ。」





その後ろを、太宰がゆったりとした足取りで降りていく。階段を降りた先にあるのは、大きな鉄製の扉。そのすぐ横には、数字の沢山並んだパネル。パネルには零から九までの数字が並んでいた。そのすぐ横には、マイクと釦がある。





「A、届くかい?」

「ん〜……」





Aは一生懸命にそのパネルへと手を伸ばした。背伸びをしてやっと手が届く。ゆっくりと数字を押していく彼女が可愛くて仕方なくて、思わず頬が緩んだ。

彼女は暗証番号を間違えず、一つ一つ押していく。ここに来る前、一度教えただけだったが、彼女はもう暗記してしまったらしい。防犯のため、二十桁程の暗証番号が毎日変わるようになっている。二十桁、一つも間違えることがなく入力を終えると、解除釦を押す。かちゃり、鍵が空いた。太宰がゆっくりと扉を開ける。





「やあ、ヴェルレエヌさん。」





中で彼らを待ち受けていたのは、藤椅子に腰掛けるヴェルレエヌだった。中の間取りは普通のマンションのようではあるが、シンプルな黒の壁紙の奥は鋼鉄の壁だ。こんな事をしなくとも、彼はきっと逃げる気はさらさらないだろう。





「太宰くんか……そちらのレディは?」






ゆっくりとこちらを振り向いたヴェルレエヌはそう訪ねた。その手には詩集が持たれている。






「はじめまして!貴方がポール・ヴェルレエヌさんね!」

「ああ。如何にも、俺がヴェルレエヌだ。」

「私ずっと貴方に会ってみたかったのよ!こうしてみると、少し中也に似てるわね!血の繋がりがないのに、不思議だわ!」





彼女はヴェルレエヌに近寄ると膝に手を添えてじっと彼の顔を見つめた。そのきらきらとした眼差しに、ヴェルレエヌは数回瞬きをした。幼く、無邪気な少女の目だ。この組織にこんなにも幼い少女が居るということが、ヴェルレエヌにとっては不思議で仕方の無い事だった。

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月10日 12時

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