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彼女の質問に、思わず白瀬は首を傾げた。彼にとって、それは過信、では無く真実だった。





「そんなの、俺が王にふさわしいからだ。中也よりも凄い王に俺ならなれる!!ってな!!」

「無理ね。」

「なんだと!?」

「貴方、中也に会った時同じようなことを言ったでしょ?」

「え?おぉ……」

「中也は私と同じように無理だと言ったはず。違う?」

「なんで分かんだよ。」

「貴方の考えは単調でわかりやすいから。そして、中也なら絶対にそういうと思ったから。」





そう言って、彼女はココアを一口飲んで、クッキーを一口齧った。白瀬は恐ろしかった。十歳の少女のはずなのに、全てを見透かされているような気がして、怖くなった。





「首領……森さんが言ってたんだけどね。」

「はぁ……?」

「『長というのは、組織の頂点であると同時に組織全体の奴 隷。組織の存続と利益のためなら、凡百汚穢に喜んで身を浸す。部下を育て、最適な位置に配置し、必要であれば使い捨てる。それが組織の為ならば、私はどんな非道も喜んで行う。それが長だ。凡ては組織と、この愛すべき街を守るために』__これがこの組織を収める首領のお言葉よ。以前、組織の長とは何なのかって聞いた時、答えてくださったわ!」





彼女はにこりと笑った。一語一句、何ひとつとして抜け落ちることなく彼女は言った。そして、少し笑いながら首を傾げる。





「組織の奴 隷になる覚悟がある?部下を育てあげて、最適な位置に配置できる?必要か、不必要か、それを見極められる?」

「んな事…やってみないと分かんねぇだろ?」

「そうかしら?」

「そうだよ!」

「今の貴方じゃ無理よ。貴方は思い知ったはず。暗殺王に、機械の捜査官。世界はすっごく広いの!!何も知らない上に器量もないままじゃ、きっと無理。貴方は先ず、世界を知るべきよ!」




彼女は子供らしく、ぱっと両手を天に掲げた。きゃっきゃと笑っていたかと思うと、再び白瀬と目を合わせる。





「その手助け、してあげないこともなくってよ、未来の王様!」





白瀬は、こんな子供に何ができるんだと疑いの目を向けたが、執務室を用意されるくらいには彼女は上の立場らしい。おまけに、子供とは思えない程の洞察力。一つ、息を飲んで口を開いた。

____此奴に賭けてみよう。





「何をしてくれんだよ。」





彼女は待っていましたとばかりに笑みを浮かべた。





「貴方、倫敦(ロンドン)に興味はお有りかしら?」

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月10日 12時

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