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「どれどれ……おぉ、いいじゃねぇか!」

「僕のAは実に天才……将来は画家さんにだってなれるよ。」





二人の絶賛するその絵を、白瀬とアダムも覗き込む。そこには逆さ吊りになった太宰と、その太宰に紐を巻き付ける中原の絵が描かれていた。幼い少女が描くには子供らしさが無さすぎる絵だが、確かに上手い。





「子供というのはこんな絵を描くんですね。」

「普通は描かねぇよ、アダムちゃん。」

「アダムちゃん……」

「この絵、兄様の執務室に飾って差し上げるわね!」

「おや、良いのかい?兄様嬉しいな〜!」

「中也にも何か描いてあげる!」

「ありがとよ。でもお前はそろそろお家に帰る時間だ。」





整備士が点検終了の合図を送ってくるのを確認した中原がそう言った。





「えぇ〜!一緒に連れて行ってよ!」

「危ねぇからだめだ。」

「ねぇ、兄様〜!」

「だめだよ。最初からそう言う約束だったでしょ。」





「捜査官さん下ろしてくれる?」太宰はアダムにそう頼むと、アダムは何も言わずに彼を地上に下ろした。やっとこさ視界がまともになる。





「Aがどうしても機械の捜査官さんと会ってお話がして見たいって言うから連れてきたんだよ。ここから先はだめ。森さんのところに帰りな。」

「だって、気になるんだもの!ポール・ヴェルレエヌさんがどんな方なのか!」

「後で写真を見せてあげるよ。」

「それじゃ嫌!」

「君の我儘ならどんな事でも叶えてあげたいところだけど、こればっかりは叶えてあげられない。あまりにも危険すぎる。何が起こるか分からないような場所に、君を連れていく訳にはいかない。兄様の言うこと、わかるね?」

「分かるけど〜……」

「じゃあここは大人しく頷いておくれよ。ね?」





むすっと頬をふくらませる彼女と視線を合わせて、何とか説得しようとする太宰。それは正しく兄の顔だった。然し、彼女はやはり不服そうだ。

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月10日 12時

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