・27 ページ26
『A。私はいつになったらめでたい報告を貰えるのかな？』
｢………大変申し訳ありません。｣
校舎裏で電話をするAの持つスマホからは、少し苛立ったような男の声。Aは額に汗をかき電話の奥にいる人物に謝罪の言葉を述べた。
『お前は私の言ったことを忘れたのか？』
｢……覚えております。しかし、少々トラブルがあり……｣
『聞いている。NRCに転校したそうじゃないか。……NRC……あの学園には少々恨みがあるからな。』
｢わ、私は……！｣
『まさか、私に逆らう気ではあるまいな。』
｢……っ……と、とんでも……ございません……｣
『聞き分けのいい娘を持って私は幸せだよ。』
｢ありがとうございます……お父様。｣
電話の主は、朝焼けの野原を収めるモルハだった。相手は彼女の父に当たる人物ではあるが、何やら様子がおかしかった。
『では、お前のやるべきことは分かっているな？』
｢……はい。｣
『いいな。失敗するんじゃないぞ。』
｢………申し訳ありません、そろそろ授業が………｣
『あぁ、そうか。せいぜい今のうちに優等生を楽しんでおけよ。』
ピッと機械音がなると通話が切れる。Aは一気に体の力が抜けてしまい、その場にしゃがみこんでしまった。もうすぐで飛行術の授業が始まる。でも、まるで動けなかった。
｢あれぇ？なにしてんのぉ？｣
少し高めの聞きなれた声は彼女のクラスメイトのフロイドの声だった。電話に出るからといなくなってから一向にかえってこない彼女を心配したフロイドは、彼女を探しに来たようだ。
いつも通りに振舞っているが、少し汗が滲んでいるのを見ると随分と探し回っていたようだ。
｢フロイドさん……｣
｢グラミーちゃん、もしかしてサボり？珍しいねぇ？｣
｢……いえ、まさか。もちろん授業に出ますよ。｣
｢今日くらい別にいいじゃーん。ちょっと俺の話聞いてよ。｣
｢でも……｣
｢具合悪いんじゃねぇの？顔色悪いし、一回くらいサボったって文句言われないよ。｣
ね？とフロイドが顔を覗き込むようにしてくると、Aは自然と首を縦に振った。
｢……フロイドさん。｣
｢んー？｣
｢……ありがとうございます。｣
｢………べっつにぃ？｣
そう言ってそっぽを向いたフロイドの耳が真っ赤に染っているのを見たAの口角は、自然と上がった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2408人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななしのヴィランズ - なぜ男子校であるナイトレイブンカレッジに転校できているのですか？ご都合主義じゃないですか (2021年10月15日 15時) (
レス) @page1 id: b2611adeda (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 面白いです！夢主ちゃんきっとお強いんだろうな、、、(まだ読み途中)獅子の狩りは♀がやるらしいですし、、、(笑) (2020年11月18日 16時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花蛸花
| 作成日時：2020年8月28日 1時
