・36 ページ36
｢……ん。｣
｢あ、ありがとう……｣
自販機横のベンチに座る彼女にカフェオレを渡し、その隣に座る。コーヒーのプルタブを開けてそれを一口飲んだ。
いつもなら気にもならないが、その日はやけにコーヒーが苦い気がした。
｢………で、なんだ。｣
｢その………き、のうの、返事………｣
｢……あぁ……｣
ドキドキと自分の心臓の音が響く。うるさい。彼女の話に集中できなくなるんじゃないかと言うほどなりまくる心臓を何とか静めたくて、一気にコーヒーを飲み干した。当たり前だが、そんなことでは心臓の音は静まってくれない。
彼女はカフェオレのペットボトルのキャップを開けて、ほんの少し飲むとまたキャップを閉めた。
｢あの……あのね……｣
｢……あぁ。｣
｢………わたしね、凄く怖くて………今までの関係から、新しい関係になるの、凄く怖くて……初めてだから、｣
｢………うん。｣
｢今までが、近すぎたから……余計に怖く、て……でも、わたし、人のことこんなに好きになるのも、初めてだったから………｣
恥ずかしさから涙を浮かべて一生懸命に話す彼女への愛おしさと、好きだと思ってくれていたことへの嬉しさからぎゅっと胸が締め付けられる。
｢でも、……でも、ね、恵くんなら、大丈夫だろうなって思って……それで………わ、わ、たし、も……すき………｣
｢………っ、｣
嬉しさ、愛おしさ、全ての感情が溢れてきて、彼女の手を引きそのまま抱きしめた。ドキドキと伝わってくる彼女の心音は昨日抱きしめた時よりも早くて、驚きからビクッと身体がはねる。
｢……話してくれてありがとう。｣
｢う、ん……ごめんね、すぐ、答え出せなくて……｣
｢いや、いい……こうしてちゃんと話してくれたから………好きだよ、ずっと。……本気だから。｣
｢うん………私も、好き、だ……よ、、｣
震える声。可愛い。どうしよう。好きだ。嬉しい。そんな言葉ばかりが頭をぐるぐると回っていた。
｢………なぁ…………｣
｢な、なに、……｣
｢………キス、………してもいいか………？｣
｢ぇ、………ぁ……う、うん………いーよ、｣
本当にいいのか？そう聞くよりも先に身体が動いていた。初めてのキスは、少し苦いコーヒーの味だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4001人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し88832号(プロフ) - 告白して結ばれたからそろそろ完結かな？ってめちゃくちゃ心配してましたが続編まだあるようでとても嬉しいです！！！！番外編も楽しみです(*^^*) (2021年6月12日 2時) (
レス) id: d28695a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 遂に告ったぁぁぁー！！！告白の仕方がいい！！好き。 (2021年6月11日 23時) (レス) id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
リサっペ(プロフ) - 33は何処へ？！？！？！ (2021年6月11日 21時) (レス) id: 8897e851e9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーko(プロフ) - 娘ちゃんと恵くんのデート、ニヤけちゃうwww続きが気になるぅ！！！！ (2021年6月11日 8時) (レス) id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 娘ちゃんと恵のデート回!!待ってました!!!!(嬉泣)陰からこっそりニヤニヤしながら覗かせて頂きます!!!!笑 (2021年6月9日 19時) (レス) id: addf3f5d58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年5月28日 0時
