・8 ページ8
隠家に戻ると、最上階にある談話室のソファーにAを寝かせてやる。佐野はそのソファーのすぐ側にしゃがむと、Aの顔にかかった髪をはらう。
「……父親は。」
「今治療中。」
「ボス〜ちょっといい?Aちゃんの目元冷やしてぇ〜」
「……目?」
「大泣きしてたから。起きた時目腫れてたら嫌じゃん?」
そう言うと、蘭は冷えたタオルをAの目元に置いてやる。スムーズすぎるその行動に、幹部の彼らはぽかんと口を開けたまま固まってしまう。
「……あんた、そんな気遣いができたのか?」
「なんだ鶴蝶。死にたいならそう言え?♡」
「万次郎。お前の耳に入れたいことがある。」
「なんだ。」
明司はつい先程竜胆に聞かされた話をそのまま佐野に説明した。まさかバレているとは思わなくて、佐野は頭を抱える。しかし、自分と会った時は確かに何も知らないような素振りを見せていた。
「……いつからだ?」
「分かんねぇ。それもこいつに聞かねぇと。」
「その……Aちゃん?は知ってて知らないフリしてたのか?」
「そうなんだろうなぁ〜いつから知ってんのか知らねぇけど。」
鶴蝶の問に、蘭はそんなのどうでもいいような素振りで返すと、Aの頭を優しく撫でる。その表情は、先程明司が車で見たものと同じ、優しい表情だった。
これはもしや、と危険を察知した九井は絶望した。どうしてこんな男に目をつけられたのか。なんで面倒事を持ってくるんだやめてくれその男だけは……と頭を抱えた。九井が頭を抱えている頃、現場を部下に任せた竜胆と三途が談話室の扉を開ける。
「Aちゃん、どんな?」
「今寝てる〜」
「あ?何だこのタオル。」
「目ぇ冷やしてんだよ。察せ。」
「んで?この嬢ちゃんは何の恨みがあって父親を殺したんだ?」
「いや、一応生きてはいる。今治療班から連絡が来て、治療は済んだって。右腕の神経は死んでるらしいけど。出血は結構あったけど、まぁそのうち目ェ覚ますってさ。」
そう言いながら、竜胆はAが寝ているのとは別のソファーに座ると、溜息をつきながらネクタイを解いた。
「おい武臣。てめぇ何か知ってやがんだろ?」
「あぁ、まぁな。……はぁ……こうなっちまったら話すしかねぇよな。」
明司は大きくため息をついたあと、父親はどんな男で、彼女の母親や彼女自身にどんな仕打ちをしてきたのかを、順を追って話し始めた。
1869人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2021年10月30日 10時) (レス) @page10 id: df5b843723 (このIDを非表示/違反報告)
りく - 文章の構成などもお上手で先が読みたくなってしまいました。応援しています! (2021年10月20日 14時) (レス) @page22 id: cb6ced8fcf (このIDを非表示/違反報告)
五条悟(プロフ) - なんかこのまま嬉々として蘭ちゃんが梵天に笑顔で入れそうだな。レオ君と共に (2021年10月16日 6時) (レス) @page4 id: e4f8a98264 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!これからも更新頑張って下さい(^^) (2021年10月16日 4時) (レス) @page4 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月16日 2時) (レス) @page2 id: 530da25b74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月16日 2時