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「元々言ってたろ。お前を養子に迎えてぇって。」





父親からの暴力を知っていたのは、この中でも明司だけだった。デリケートな問題を言いふらしていいものかと考えた結果、言うよりも先に起こったのが今回の事件。しかし、今回のことで正式に養子になることが決まってしまったようだ。

施設に預けるには心配だし、親戚に引き取らせるにしても、母親側の親戚は父親によってほぼ絶縁状態。父親側の親戚に引き取らせるにしてもそれなりに不安はある。となると、年齢的にも一番父娘らしい明司が養子にとった方が良かった。

絶対に安全かと聞かれればそれはそうでも無い。梵天相談役の明司の娘であると知られれば危険もある。しかし、これから先何かと親が必要になってくるのが子供だ。娘であることがなるべく知られぬように、それが一番の問題点であったが、彼らと関わりを持っている時点で面倒事に巻き込まれてしまうのはほぼ確定だった。ならば娘にしてしまってもさほど問題はない。






「俺と万次郎はその手続きを済ませてきた。」





養子縁組の手続きとはそれなりに面倒なものもあるし、一日の、それも数時間で済むような問題でもない。色々な過程をすっ飛ばしてしまっているのだろう。そもそも、犯罪組織の相談役が無闇に名前を出すわけが無い。所謂、裏ルートというものだろう。





「勝手なことをしたとは思ってる。でも、賢いお前ならこれから先親って存在がどれだけ大事になってくるか分かるだろ。」

「……うん。」

「待てよ。そうなったら俺とこいつの関係はどーなんだ?」

「姪と叔父になるな。」

「A、春叔父さんって呼んでみろ。」

「え………は、春叔父さん………」

「はい、養子縁組賛成!!!」





中々にいい呼ばれ方だ。父娘にするには歳が近すぎる、でも叔父と姪なら問題はない。ちょろ過ぎる三途に、本当にそれでいいのか、と鶴蝶は頭を抱えた。






「ちっ……一足遅かったか……」

「遅くなくてもお前に父親の座は譲らねぇよ。」

「じゃあAちゃん明司になんの?」

「明司Aか〜でもAちゃんの荷物全部俺ん家に運ばせちまったぜ?どーする竜胆。」

「別に絶対父親と住まなきゃって決まりはないしいいんじゃない?」

「……悪い、俺は今過去一混乱してる。なんの話ししてんだ?」





意味のわからない会話に、頭の整理が追いついていない幹部たち。やっとの思いでツッコンだのは、やはり鶴蝶だ。

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(プロフ) - 続編おめでとうございます!! (2021年10月30日 10時) (レス) @page10 id: df5b843723 (このIDを非表示/違反報告)
りく - 文章の構成などもお上手で先が読みたくなってしまいました。応援しています! (2021年10月20日 14時) (レス) @page22 id: cb6ced8fcf (このIDを非表示/違反報告)
五条悟(プロフ) - なんかこのまま嬉々として蘭ちゃんが梵天に笑顔で入れそうだな。レオ君と共に (2021年10月16日 6時) (レス) @page4 id: e4f8a98264 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!これからも更新頑張って下さい(^^) (2021年10月16日 4時) (レス) @page4 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月16日 2時) (レス) @page2 id: 530da25b74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年10月16日 2時

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