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懐かしい夢だった。あの頃は何も知らなくて、幸せで、自分の周りにいた彼らが自分の支えになっていたのだと今になって痛感する。自分は周りの人間に守られて生きてきたのだと。段々と意識がはっきりしていくと、最初に目に入ったのは、耳を垂れさげて心配そうに自分を見つめているレオの姿だった。
｢……れお……？｣
名前を呼んでやると、レオは嬉しそうに耳をぎゅん、と上げてわふ、とひと吠えした。その後ろから顔をひょっこり表した紫色の頭髪の男。彼は優しげな微笑みを浮かべていた。
｢目、覚めた？｣
｢蘭さん……？｣
ここはどこだ。ゆっくりと体を起こせば、大勢の男に囲まれており、その男達のほとんどが見知った顔ぶれだった。だだっ広いその部屋には高そうな家具が並べられており、大きな窓からはキラキラと輝く夜景が一望できた。
ここはどこだろう。なぜこんな所に居るんだろう。まだ少しぽやぽやとした意識の中で、突然脳内に飛び込んできたのは血塗れの父親と真っ赤に染った自分の手だった。一気に意識が覚醒し、喉を通る空気が嫌な音を立てた。
｢A、落ち着け。大丈夫だ。｣
すかさず彼女の前にしゃがんで背中を撫でたのは明司で、彼女の目元を撫でながら｢目は腫れてないな｣と小さく呟いた。
｢A、さっきのこと覚えてるか？｣
明司からのその質問に、Aはゆっくりと頷いた。
｢そうか。なんであんな事になったか、話せるか？無理にとは言わねぇ。でも、俺らも正直なんでお前があんな事をしたのか気になる。正和に、なにか関係のあることなのか？｣
Aは、明司からの質問にまた小さく頷くと、ぽつりぽつりと話し始めた。正直、父親を刺した時の記憶は曖昧だった。怒りで目の前が真っ赤になって、気がついたら短刀を手に持っていた。
一瞬戸惑ったのは覚えている。それでも、自分が殺らなかったら誰がやるのかと思った時には、もう自分の手は真っ赤に染っていた。殺すつもりはなかった、なんて言い訳はしない。殺したいほど憎かったのは昔から変わらない。その限界がピークを超えてしまった。ただそれだけ。
彼女の話を聞きながら、明司は眉を顰める。幼馴染だった。子供の頃から一緒で、なんでも話せる友だったと思う。そんな彼は知らぬうちに死んでいて、その彼を殺したのは実の父親だった。自分の地位のために、名誉のために息子に手をかけた、クソ野郎。
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鈴(プロフ) - 続編おめでとうございます！！ (2021年10月30日 10時) (
レス) @page10 id: df5b843723 (このIDを非表示/違反報告)
りく - 文章の構成などもお上手で先が読みたくなってしまいました。応援しています！ (2021年10月20日 14時) (レス) @page22 id: cb6ced8fcf (このIDを非表示/違反報告)
五条悟(プロフ) - なんかこのまま嬉々として蘭ちゃんが梵天に笑顔で入れそうだな。レオ君と共に (2021年10月16日 6時) (レス) @page4 id: e4f8a98264 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！！これからも更新頑張って下さい(^^) (2021年10月16日 4時) (レス) @page4 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも楽しく読ませていただきます！ (2021年10月16日 2時) (レス) @page2 id: 530da25b74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花蛸花
| 作成日時：2021年10月16日 2時
