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「え、てことは今の生徒会役員ほとんど1年?」
「あぁ。雅火は副生徒会長だし、幸慶と幸穂は書記、実幸が会計だったかな。そしてさっきも言った通り、Aがそれら全てをまとめる生徒会長。」
真剣に会議の内容を話しているAを見ながら、夏油はそう言った。人を束ねるべき立場に向いている、といえばそうかもしれない。しかし、それよりも大きな理由がある。
「彼らはAの言うことには従順だからね。Aは普通1人で任務をこなす方が効率がいい。自分と同等かそれ以上の実力のある人間なら話は別だけどね。
でも彼らの場合は違うんだ。なんでだと思う?」
「なんでって…動かしやすいからじゃないの?」
釘崎の言葉に、夏油は少し首を捻る。
「んー…半分ハズレかな。彼らはね、Aの思う通りの行動をしてくれるからなんだ。そうでなきゃ一緒に任務になんて行かないどころか、ビジネス関係での関わりは完全に断ち切られる。プライベートでこそ仲はいいけど、Aの中でのビジネスは私たちの思っているものよりもずっと厳しいよ。」
「………例えばどんな風に?」
「んーそうだね………例えば呪詛師がいたとして。それが自分のビジネスに必要か否か。必要であれば生かしてくれるよ。」
「必要じゃなかったら?」
「間違いなく死だね。」
その場で殺される。その言葉に、ゴクリと唾を飲んでしまう。まだ中学生の、年下の男の子がこれ程までに恐ろしいと感じたことがあるだろうか。
「Aにとって利用価値があるか否かでその呪詛師の生死が決まる。聞き出せる情報があれば辛うじては生かしてくれるかもしれないけど……
もしも仲間内であれば…例えば悠仁ね。悠仁が自分のビジネスに必要じゃないと分かれば、その時点でビジネスでの関わりは全て打ち切られる。悠仁にとっては別になんてことない話だろ?でもね、彼らは違う。」
「…なるほど、執着してるってわけね。」
「簡単に言えばそうだね。そのために彼らは強くなっているんだよ。Aの役に立てるように、日々の鍛錬、日々の勉強を欠かさない。彼らを繋げているのはビジネス、そして、友情の2つの糸なんだ。」
どちらか1本が切れてしまったらどうなるのか。それは分からない。その糸を切るためのハサミを持っているのもまた、夏油Aという一人の少年なのだから。
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零落(プロフ) - 久々に占ツクに戻ってきたら超良作に出会って、一気に最新話まで読んでしまいました。話の途中で何度も笑ってしまったり、感動したり…もう最高です!素敵な作品をありがとうございます。これからも更新楽しみにしております。 (2021年6月4日 6時) (レス) id: 35493f6139 (このIDを非表示/違反報告)
方言男子 - やべ、性癖に刺さった (2021年5月26日 18時) (レス) id: b75236f17d (このIDを非表示/違反報告)
海洋生物(プロフ) - 続編おめでとうございます!成長した夢主くんかっけぇ!あと面白い!これからも頑張ってください! (2021年5月25日 7時) (レス) id: c21e60aa61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年5月25日 5時