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「任務内容は2級案件だ。すぐに終わるだろうね。」
「じゃあ早く終わらせよう。」
そう言うと、呪霊の顎をトントンと軽く叩く。すると呪霊はガコンッと顎を外してその喉の奥から大きな鎌がズルリと出てきた。
とてもおもたそうなそれを軽々と持ち上げて肩に担ぐ。
「帳はおろしておくからね。気をつけて。」
夏油のその言葉と共に、Aを先頭にして廃墟ビルの中に入っていく。帳が降りてしまったところで、肩に乗っていた呪霊はバサバサと羽を動かしてどこかへと飛んでいった。
「なぁ、Aって何級なの?」
「さぁ……あまり気にしたことありませんからね。父さんに聞けば分かりますよ。」
「え、なんでいきなり敬語?」
「プライベートとビジネスを分けるのは基本中の基本ですよ。特に、あなた方と今後も仕事ができると判断できるまでは。つまる話がまだ信頼してないです。」
「はい、すみません。」
「…ほんとに夏油先生の息子なの?」
「残念ながら。」
五条に比べればまだ常識のある男だが、それでもろくでなしはろくでなし、クズはクズだ。教え子のスカートを履く親友を見てただ笑ってるだけの男なのだからまともなはずがない。
それから生まれた息子なのだからどんなクズかと思いきや、まるで大人のよう。
「Aってなんで呪術師になろうと思ったん?」
「………さぁ、何故でしょう。」
特にないです。そう言って笑った彼の笑顔は、先程のものとは全く違うような気がした。また別の悪寒が走るような感覚。
「まぁ、強いて言うなら力ですかね。あるだけでは宝の持ち腐れ、無駄にならない為に使ってるようなものですよ。」
「………………」
「意外とドライなのね。」
「これくらいの意気込みじゃないと術師なんてもちませんよ。
それより、あちらお願いしていいですか。」
カシャンッと鎌の先で指したのは、3級程度の呪霊が2体。うごうごと芋虫のように動くものと、棘のようなものが生えたもの。
「おう!任せろ!」
「あんなの余裕よ。」
「じゃあ私たちは2級を。」
「あぁ。」
「Aそっちで大丈夫なん?」
「……虎杖、Aをあんまり甘く見るなって五条先生に言われたろ。」
「え?おん。」
「だから心配ない。」
「え?」
伏黒はそれだけ言うと、既に虎杖達に背を向けてしまったAの後を追う。虎杖には、まだその言葉の意味が分からなかった。
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零落(プロフ) - 久々に占ツクに戻ってきたら超良作に出会って、一気に最新話まで読んでしまいました。話の途中で何度も笑ってしまったり、感動したり…もう最高です!素敵な作品をありがとうございます。これからも更新楽しみにしております。 (2021年6月4日 6時) (レス) id: 35493f6139 (このIDを非表示/違反報告)
方言男子 - やべ、性癖に刺さった (2021年5月26日 18時) (レス) id: b75236f17d (このIDを非表示/違反報告)
海洋生物(プロフ) - 続編おめでとうございます!成長した夢主くんかっけぇ!あと面白い!これからも頑張ってください! (2021年5月25日 7時) (レス) id: c21e60aa61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年5月25日 5時