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その日の朝は仕事があるから行けない、と蘭から泣きの絵文字付きのメッセージを貰っていたので、レオと二人での散歩だった。少し遠回りしてみるのもいいかもな、なんて考えていると、いつも蘭と待ち合わせているベンチに人影が見えた。
こんな時間に珍しいな、なんて考えていると、段々とその人影がはっきりと見えてくる。
「………え?」
「よぉ、久しぶりだな。」
そう言って手をひらひらと振っている男の目には大きな傷。昔とほとんど変わりないその容姿に、「あ!」と声を上げる。
「臣くん!!」
「見ねぇ間に美人になっちまって。にしてもチビだな。」
明司はけらけらと笑いながら彼女の頭を撫でた。昔からもう一人の妹のように可愛がっていたAは、明司にとっても目に入れても痛くないほどだった。こうして成長を改めて実感してしまうと、少し感動してしまう。
「灰谷にいつもここで待ち合わせてるって聞いてな。ったく、春千夜のやつAの事俺に報告してねぇんだもん。そりゃ会えねぇわな。」
「春ちゃんらしいけどね……」
大方の想像が着いてしまったAは、困ったように眉を下げた。レオはと言うと、Aの隣に大人しく座ってしっぽをぶんぶんと左右に振っていた。
「そいつがレオか。」
「うん、そう!」
「悪ぃな、さっきまでタバコ吸ってたから嫌がるかもしんねーわ。」
「多分大丈夫だと思うよ?蘭さんも吸うけど大丈夫かな〜なんて心配してたけど、この子あんまり気にしないみたい……」
「それならいいわ。……ところで、ちょっと話せねぇ?」
「……?もちろんいいけど……」
Aはいつも通りそのベンチに座り、その足元ではレオが大人しく伏せをして横になっていた。隣には明司が座り、いつもそこには蘭が座っていたので少し違和感を感じてしまう。
「正和、いつ死んだんだ。」
「……去年、仕事で。」
「………そうか。今は親父さんと二人なんだろ?」
「うん……」
「………大丈夫か?」
明司のその問いかけに、Aは眉を下げて困ったように笑うだけだった。
彼女の父親が如何に横暴で典型的な亭主関白野郎だったかなんて見ていればわかった。しかしある日、それは度を越した暴力へと変わった。それを知ったのは、父親と彼女の母親が再婚し、彼女が産まれて暫く経った頃だった。
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かのん - 竜ちゃんの心の声が荒れてて面白過ぎるwww (2022年1月15日 12時) (レス) @page47 id: 23ecb5b22b (このIDを非表示/違反報告)
やまだ(プロフ) - あれれ?竜胆さんしれっと春千夜がヤク中ってバラしちゃったよ?((゜ㅇ゜)??? アレェ?竜胆さん? (2021年10月16日 3時) (レス) @page47 id: 4fca3f24b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆぽぽ(プロフ) - 蘭さん好きぃぃぃぃ!!!!そして竜胆面白すぎるw w w (2021年10月14日 20時) (レス) @page43 id: 908e4168b8 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 竜胆の心の声が面白すぎますwwwwww (2021年10月14日 15時) (レス) @page43 id: 947326f28f (このIDを非表示/違反報告)
絶狼(ゼロ)(プロフ) - 面白いですゲラゲラ笑ってしまいました。最新では思わず竜胆ォォォwwwwwwと変な声が出てしまいましたこれからも頑張ってください応援してます (2021年10月14日 14時) (レス) @page43 id: 1a90028617 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年9月26日 3時