おっかな妹-2【東リべ】

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何が違うのだろう。男と女。体格差も力も全て違うはずなのに、この差はなんなのだろう。目の前の光景に、男ははくはくと口を動かした。





｢なんだよ、この程度かァ？張合いがねぇなぁ♡｣





およそ10センチはあるであろうピンヒールで、ゴリゴリと男の頭を踏み付ける。約200名。それだけの男たちが彼女によって伸されたのだ。女だからと舐めてかかっていた男たちも一発 K.O.。残ったのは、その光景をありえないとでも言いたげな表情で、ただ呆然と立ち尽くす総長だけだった。





｢口ばっかりで雑魚ばっかじゃねぇの。あ、それとも、私がつぇーだけだったりするぅ？♡｣





彼女の白くて薄い手は人を殴ったせいで赤くなり、頬には返り血が飛んでいた。さらりと長いその髪をかきあげて、にいっと小さく微笑んだ。





｢ほら、最期はお前だけだぞ〜？それともぉ、怖気付いたァ？♡｣

｢っ、、！この、クソアマがァ……！！｣





俺なら行ける。俺は総長だぞ。六本木のテッペンがこんな女如きに怯むはずがねぇだろうが。女なんて一発殴れば地にひれ伏して許しを乞うんだ。





｢死ねェ！！！女ァ！！！！｣





緩りと口角を上げ、飄々とした態度を崩さずにこちらをじっと見つめる彼女に拳を振り上げた。俺の勝ちだ。そう確信していた。しかし、鳩尾に伝わる衝撃は半端なものじゃなかった。息が詰まり、呼吸ができない。彼女の長い足が男の鳩尾をしっかりと捉えていた。力の入らなくなったその男を足で押しのければ、いとも簡単に倒れてしまう。





｢クソアマ、クソアマ……女、女、女ァ……テメェはそれしか言えねぇのかァ？｣





ぴくぴくと眉を動かし、その顬には青筋が浮かんでいた。気ダルげに垂れていたその紫色の目は細められ、げぼげぼと咳き込む男を冷たく見下ろしていた。





｢頭のねぇやつは吠えるばっかだなァ？ん？その女に、今、チーム丸ごとぶっ潰される気分はァ、どぉんな感じぃ？｣





冷たい目のまま口角を上げて、座り込んだままの男の顔を覗き込む。かと思うと、腰にささっていた警棒を抜き取り、勢いよく振りかぶった。金属音を立てながらそれが伸びれば、その先を男の顎へと這わせる。





｢あたし、女だからさァ？武器がねぇとお前のこと仕留めらんねぇ〜♡女だから"多少"手加減出来なくても、許してくれるよな♡｣





｢男なんだから我慢しろォ？♡｣そう言って笑う彼女は、大きく警棒を振りかぶった。

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