おっかな妹-2【東リべ】

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｢A待て！！！！！｣






神宮の声に、警棒はその男の顔スレスレで止まった。ピタリと止められた腕に、Aは少し不機嫌そうだ。





｢あ"？｣

｢耳をすませろ。聞こえんだろ。｣





唇に指を当てた神宮の言葉通り耳を澄ませてみれば、遠くの方からサイレンの音が聞こえてくる。





｢ちっ……サツかよ。｣





黒ずくめの集団はそうそうに退却。Aは警棒を元の長さに戻すと、その男の顔面を蹴りあげた。カエルがひしゃげたような情けない声に、彼女は笑う。





｢今日はこれで勘弁してやるよ♡｣

｢おいテメェらァ！！二度とうちのAさんに喧嘩売ってんじゃねぇぞォ！！！｣

｢ギャラリーも早く散りな〜｣

｢俺らもそろそろ行かねぇとやべぇよ、お嬢。｣

｢帰んぞぉ〜お前らァ〜｣





Aがひらひらと手を振ると、帝釈天の兵隊たちは続々とその場を離れていく。A達もバイクに跨り、廃車場をさっさと離れていく。さすがに出たばかりで続けて警察のお世話になるのはごめんなようだ。今入っても面白そうなことは何一つないだろう。





｢歴史が変わるなぁ、A。｣

｢何言ってんだァ？元々あたしのもんだろが♡それを奪い返しただぁけ♡｣





六本木は灰谷Aのもの。それは彼女が12歳の頃から、いや、それよりも昔から決まっていたのだろう。灰谷兄妹のシマ。兄から妹へと受け継がれたカリスマの座だ。そうそう渡してたまるものか。





｢これからが楽しみだなァ！帝釈天！！！｣





テッペンなんて、チームなんてどうでもよかった。それでも、彼らと作ったこのチームがどこまで行けるのか、どこまで大きくなれるのか。その行く末を見ていたいと思えた。

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