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一時間ほど経てば、蘭と竜胆も準備を終えており、Aは下着のみの状態でお風呂場を出てくる。何一つ変わっていないその行動を見越して、竜胆はものすごい速さでバスローブを手に取ってそれをAに羽織らせる。





「女の子がそんな格好で出てくんじゃねぇ。風邪ひいたらどーすんだ。」

「蘭ちゃんと竜ちゃんも同じようなもんじゃね?」

「蘭ちゃん竜ちゃん、男。A、女。はい、復唱。」

「蘭ちゃん竜ちゃん、男。私、女。」

「よろしい。」





昔から世話焼きというかお節介焼きの竜胆は、Aが自分たちの真似をして素っ裸でお風呂から出てきたり、パンイチで寝たり、一日ノーブラだったりするAを尽く注意してきた。

素っ裸で出てくることも真っ裸で寝ることもノーブラで過ごすことも無くなったものの、こうして未だに兄たちの前で羞恥をもちもしない妹に頭を抱えている。兄と言えど仮にも男。この位の年齢なら気にするものじゃなかろうかと何度頭を悩まされたことか。竜胆は大きくため息をついた。





「なんでもいーからこっちこーい。蘭ちゃんが髪乾かしてやるからな♡」

「あ、兄ちゃんずるい。」

「はえーもんがち〜」

「じゃあセットは俺がやるから。」

「なんでもいーからはよ乾かして〜」





ソファーに腰を下ろして、ころころとテレビのチャンネルを変えるAの後ろに立ち、その長い髪にドライヤーをかける。色落ちして、紫からほぼ金色に近い髪色になっているその髪は、少年院に入っていたせいなのか少し傷んでいる。





「A、このドレスでいいか?」

「なんでもいいよ〜」

「んじゃこれな。靴はどれくらいの高さにすんの。」

「んー……7。」

「ん。こっちで適当に決めるぞ。」





竜胆は一番奥のAの衣装部屋と化した部屋の扉を開けると、ずらりと並んだ靴の中から、7センチと書かれた棚の靴を物色する。

彼女はヒールにこだわりがあると言うより、その日の気分や服、場所に合わせてその高さが決まる。大体が気分になってしまうが、ほとんどは7〜16センチまでのものが揃えられている。ちらほらとヒールの低い靴もあるが、このスペースの内のほんの少しだ。16センチのヒールで走ったり喧嘩をしたりするくせに全く体感がぶれないし、スニーカーで走るよりもほんの少し早く走るのだからどうかしてるとさえ思う。

その棚から、ラベンダー色のドレスに合いそうな靴を2、3足手に取り、もう一度リビングへと戻った。

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自律思考固定砲台 - 梵天大好きな私の為に作られたのかと思った…。作者様、マジで神じゃん!? (2021年9月27日 22時) (レス) @page38 id: 426cb43a7c (このIDを非表示/違反報告)
わわるこ(プロフ) - 夢主ちゃんがマジで好み過ぎる… 主様の作品大好きです!応援してます! (2021年9月26日 12時) (レス) id: e592c4a1c9 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 面白いです!応援しています! (2021年9月20日 13時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
ma(プロフ) - 灰谷兄弟の妹めちゃくちゃいい作品に出会えて嬉しいです!春千夜大好きなので梵天絡みまじ好きです!落ち楽しみにしてます!!これからも更新頑張ってください^_^応援してます! (2021年9月16日 13時) (レス) id: 70f00aa1ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年9月16日 2時

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