闇医者-2【東リべ】 (ページ9)

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何が何だか分からなくて、吹っ飛んでいった男の方を目をぱちくりさせながら見たあと顔を上げる。そこには、スーパーの袋を下げたAの姿があった。

｢な…！？｣
｢てめぇなにしやがんだ！！！｣

｢お前らこそ何やってんだ。子供相手に情けねぇ。なんだ、そんなに喧嘩してぇなら俺が相手になってやろうか？あ"？｣

｢お、おい……こいつ黒龍の総長補佐の、、！！｣
｢あの怪物か…！？｣

｢なんだよ、怖気付いたか？根性ねぇな。｣

そう言って彼が煽るように笑うと、逆上した男たちは次々に彼に殴りかかっていく。

｢目ェ瞑ってな。｣

それをひらひらと交わしながら春千夜の方を見て笑えば、彼は言われた通りにキュッと目を瞑った。それを確認したAは容赦なく男の顔を陥没する威力で殴りつける。男の苦しそうな声に思わず目を開けると、その光景に息を飲む。

相手は4人。不利といえば不利なこの状況で傷一つつけないまま男たちをなぎ倒していく。骨を折られて藻掻くリーダー格らしき男の腹を、容赦なく蹴りつけた。

｢二度と弟に手出すんじゃねェ。次は殺す。｣

あの日、父親を蹴り飛ばした時と同じ低い声に背筋が伸びる。Aが満足した様子で振り返ると、目を見開いて固まったままの春千夜と目が合う。

｢あ〜目瞑っとけって言ったじゃねぇの。怖かったろ？｣

｢……………｣

｢……………ハル？…………おーい、春千夜〜？｣

まじで怖がらせたかな。もしや嫌われた？と焦っていると、春千夜が振り絞るように声を出した。

｢か……｣

｢……か？｣

｢かっけぇ……！！｣

目をきらきらさせた春千夜に、思わず肩の力が抜ける。

｢兄ちゃん、すっげぇ強いんだ…！｣

｢あー……まぁ、そこそこにな。｣

｢どうやって強くなったの！？｣

｢んはっ、そんなん分かんねぇよ。｣

ほら帰んぞ、と買い物袋を手に持って反対の手では春千夜の手を握った。

｢あーあ、ルーの箱へこんでやんの。中身大丈夫かな……｣

｢ねぇ、ぶらっく、どらごん……？ってなに！？｣

｢んー、俺が入ってるチーム。｣

｢かっけぇー！！｣

｢んはは、はいはい。ありがとさん。｣

｢俺も強くなる！！｣

｢自分よりデケェやつに木の枝ぶっ刺させる度胸あんならなれるだろーな。｣

こんなにはしゃいでる姿を見たことがなくて、Aも思わず吹き出す。帰りの道中でも、春千夜は興奮冷めやらぬ様子でぴょんぴょんと跳ねていた。