闇医者-2【東リべ】 (ページ37)

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Aが言った通り、あの後すぐに伊宮が来た。伊宮は玄関の前で泣きじゃくる春千夜に焦ってはいたものの、｢何泣いてんだよ！まだまだガキだな〜！｣なんていつもの調子で春千夜の頭を乱暴に撫でた。

｢おら、泣き止めクソガキ。いつまで泣いてやがんだ。｣

｢だ、て……兄ちゃん……、おれ、俺のせいで……っ、｣

｢すぐ帰ってくるって言ってたんだろ？んなら大丈夫だ。Aさんは嘘つかねぇからな。それとも、Aさんの言うこと信じれねぇってのか？あ"？｣

伊宮は春千夜と肩を組むと、グリグリと頭を撫で回す。

｢い"、、！｣

｢分かったらとっとと泣き止め。ガキの扱いは分かんねぇんだよ。それより飯だ飯。｣

伊宮はそう言ってキッチンに足を向けると、冷蔵庫の中を物色し始める。

｢……お前、心配じゃねーの、、？｣

｢……心配に決まってんだろ。真一郎くんだって、めちゃくちゃ心配してた。｣

先程まで笑っていたのとは裏腹に、伊宮の表情は暗くなる。冷蔵庫の扉を閉める音が静かに部屋に響いた。

｢でも、Aさんは絶てぇに人の道を踏み外すようなことはしねぇ人だ。｣

そう言って、伊宮は小さく笑った。彼がどれだけAを信頼しているのか、それだけで嫌という程伝わってくる。彼は絶対に自分で間違いを犯したりはしない。

｢お前も信じて待ってろクソガキ。それに、Aさんは話をしに行っただけで逮捕されたわけじゃねぇーんだよ。勝手にムショ行きにすんじゃねぇよガキ。｣

｢ケッ｣と小さく舌打ちをしたかと思うと、伊宮は棚からフライパンを取りだした。彼は彼なりに、春千夜を安心させてやろうとしているのだろう。いつも通りに振舞ってはいるが、心の中では少しドキドキしていた。

相手にもしものことがあれば、Aはにしばらくの間は出てこられなくなるし、もちろん貰っていた推薦も無くなる。何もありませんように。ただそれだけを願って、コンロの火をつけた。