闇医者-2【東リべ】 (ページ36)

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その後は無言だった。手すらも繋ぐことなく家に帰り、家に帰ったらシャワーを浴びさせられる。春千夜の後にAが入り、彼があがってくればすぐに手当が始まった。

いつも以上に優しい手つきに、なぜだか泣きそうになる。春千夜は、ゆっくりと口を開いた。

｢……ごめん、兄ちゃん……おれ、ちゃんと気をつけてなかった、から……っ、｣

あの時気をつけていれば、煽るようなことをいっていなければ、自分を責める言葉ばかりが頭を支配する。涙を流す春千夜の頭を、Aは優しい手つきで撫でた。

｢お前はなんも悪くねぇよ。俺こそごめんな、怖がらせちまったよな……｣

痛かったよな、そう言って擦りむけた膝を優しく撫でる。踏まれた時に口が切れたのか、口の中は未だに鉄の味がしていたが、涙と血がまじり口の中がどんどん不快な味に支配されていく。

｢頭、痛くねぇ？｣

｢ん、、…｣

｢ならいい。どっか痛かったら言えよ？病院行かねぇとな。｣

｢……兄ちゃんは、、？いたくねぇ、？手……｣

殴りすぎて赤くなったAの手。少しすりむけてしまったようだ。

｢こんなもんどーってことねぇよ。なんてったって、黒龍の総長補佐だぞ？｣

そう言って、Aはニカッといつも通りに笑った。手当が済み、よし！とAが膝を叩くと同時にチャイムが鳴った。Aは誰だよ……とため息をつきながら立ち上がると玄関へ向かう。

春千夜は救急箱を元に戻したあと、Aの後を追うように玄関へと走った。誰だろうか。そう思い玄関の方を覗き込むとと、そこには二人の警察官が立っていた。

｢話を聞きたいから、署まで一緒に来てくれないかな？｣

｢………分かりました。｣

頭の中で警報が鳴り響く。春千夜は玄関に走り、兄を庇うようにして警察官とAとの間に立ち塞がった。

｢ハル？｣

｢兄ちゃんになんの用だよ…！！｣

｢ハル、俺は大丈夫だから。な？｣

Aは困ったように眉を下げて、春千夜の頭を優しく撫でる。

｢ハル、ちょっとお話してくるだけだからな。いい子でお留守番しててくれねぇか？｣

｢……っ、、！兄ちゃん、おれ、、、！｣

｢大丈夫だ。すぐ帰ってくる。……伊宮に連絡しといてやるから、今日だけ我慢してくれ。｣

Aは春千夜を安心させるように笑顔を浮かべると、警察官二人と一緒に家を出た。