闇医者-2【東リべ】 (ページ27)

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子供たちの元気な声の聞こえる道場。庭からその道場に入ると、開いていた扉からひょっこりと顔を出して中を覗く。

｢じいちゃ〜ん？｣

｢おぉ！Aか！よく来たな！｣

佐野の祖父である万作に声をかければ、バシバシと背を叩かれる。幼い頃からよく世話を焼いてくれていた彼は、Aを実の孫のように暖かく迎えてくれた。

｢真一郎はどうした？｣

｢あれ、いねーの？俺ここにいると思って来たんだけど……伊宮とゲーセンでも行っちまったんかなぁ……ったく、あいつが課題手伝ってくれって呼び出したのに……｣

｢あ、Aくん！｣

黒髪の鋭い犬歯が目立つ少年がAの姿を見つけると、きらきらと目を輝かせた。

｢よぉ、圭介〜久しぶりだな。稽古はどうだ？万次郎には勝てたか？｣

｢そのうち勝つんだよ！！！いつかAくんくらい強くなってやるからな！！｣

｢へぇへぇ、楽しみにしてるよ。｣

場地の頭をわしゃわしゃと撫で回すと、場地はニカッと歯を見せて笑った。それを見た万次郎が横からぐいっと割り込んでくると、俺も撫でろと言わんばかりにAを見た。

｢はいはい、お前もな。｣

｢おい、マイキー！ずりぃぞ！｣

｢二人ともずるい！エマも！！！｣

そこにエマも加わり、Aは一人ずつわしゃわしゃと頭を撫で回していく。彼らはAによく懐いており、本物の兄のようにわがままも言うし遊んだりもする。今のように、Aを奪い合って喧嘩をすることもある。

｢ほら、稽古戻れ〜｣

｢Aどこ行くんだよ。｣

｢俺？真一郎探しに行く。あいつに課題手伝えって頼まれてるからな。｣

｢あいつに会ったら道場の方に顔を出せと言っておいてくれ。｣

｢りょーかい。じゃあな〜｣

ぽん、ぽん、ぽん、と三人の頭を軽く撫でてやったあと道場を離れる。外に止めてあったバイクに跨りながら、大きくため息をついた。

課題が終わらないと泣きついてきた本人が家にいないんじゃ意味がない。ふざけているのか、忘れているのか。きっと忘れているのだろう。

｢なんで俺あいつが好きなんだ？｣

人を見る目が無くなったのかと心配になってしまうほど彼に振り回されているのに嫌いになれない。やっぱり自分がおかしいのかもしれないな、ともう一度ため息をついた。