闇医者-2【東リべ】 (ページ3)

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｢この子、あんたの新しい弟。｣

｢………は？｣

ずっと家を開けていた母親が、突然帰ってきたかと思うと口の両端に小さな傷のある男の子を連れて帰ってきた。その隣には、その少年の父親であろう男。なんでもその男が婿に入ったとかで、その話を今聞いたばかりのAは開いた口が塞がらない。

母親はその少年の背中を強く押す。その子供は体制を崩しよろけたが、転ける前にAはその肩を支えた。

｢じゃ、私ら出かけてくるからその子の事よろしく。｣

｢頼むよ、Aくん。｣

彼の父親らしきその男はヘラヘラと笑った。まだ子供であるAを完全に舐め腐ったその笑い方。Aは舌打ちをすると、その男の腹を蹴り飛ばす。

｢がはっ……！｣

｢気安く俺の名前呼んでんじゃねぇよ。｣

腹を押えながら尻もちを着いた男を見下ろしてギロリと睨みつければ、男はﾋｯと情けない声を上げた。

｢だ、大丈夫……！？あんた何やったか分かってんでしょうねぇ！？！？｣

｢黙れよクソババア。さっさとその男連れて消えろ。二度と帰ってくんじゃねぇぞ。……さもねぇと殺す。｣

そう言って彼が睨めば、その2人は情けない声を上げてその場から逃げ去った。胸糞悪い。あんな母親の腹から産まれたなんて信じたくもない。Aは小さくため息をついたあと、すぐ後ろの少年の方へと振り返る。

その子供は先程の彼の様子に脅えてしまったのか、ビクッと肩を震わせた。あぁ、怯えさせてしまった。Aは困ったように眉を下げて笑みを浮かべた。

｢そんな怯えんなよ。悪かった、怖がらせたな。｣

Aは彼の前にしゃがむと、優しく頭を撫でる。すると、その少年は目を見開いて彼を見た。かと思うと、強ばっていたからだから力が抜けて、窄められていた肩が段々と下がっていく。

｢坊主、名前は。｣

｢………春千夜。｣

｢春千夜……よし、ハル！今日から俺はお前の兄ちゃんだ！あんなクソどものことは気にすんな。お前のことは俺が守ってやるよ。｣

そう言って、Aはニカッと笑う。弟のことは自分が守る。そう心に誓った。

｢ハル、今日から俺がお前の家族だ。｣