最強と娘-8【呪術廻戦】

・25 ページ25

信頼云々の前に嫉妬してしまうのは無理もないわけだ。恋人が自分以外の異性と仲良くしていたら多少なりともモヤモヤはする。





｢で、それを本人に相談しに来ちゃったんだ。｣

｢あぁ。｣

｢恵くんこの数年で私のことになるとポンコツになったよね。｣





普通本人に相談する？と彼女が問えば、他に無かったと返される。





｢んー……私の場合恵くんが私一筋だって理解してるから嫉妬とかに繋がらないんだよね。女の子とベタベタしてる〜なんてのも見たことないし……実際一筋でしょ？｣

｢そんなの当たり前だろ。｣

｢即答〜……｣

｢お前はどうなんだよ。｣

｢私も一筋だよ。一筋に決まってんじゃん。｣





逆に他に目移りする場所がない。目移りの仕方がわからないのだから当たり前だが、彼に惚れ込んでいるというところが一番の理由だろう。





｢別に嫉妬をやめなくても良くない？｣

｢俺だけ嫉妬してんのが気に食わねぇんだよ。｣

｢え、そこ？｣

｢そこ。あと、お前束縛とか嫌いそうだろ。｣

｢どういうイメージよ。別に好きな人から嫉妬されて束縛されんのって嫌じゃなくない？｣





当たり前だろう。そう言いたげに彼女は首を傾げた。縛られるのとかマジ無理〜と帰ってくると思っていた伏黒は思わず口を開いたまま閉じるのを忘れてしまう。





｢逆に嫌なの？｣

｢いや……別に嫌とかはないな。｣

｢それと同じ。まぁ、私は浮気さえしなければ束縛とかはしないけどさ。恵くんにそんな度胸があればだけど。｣

｢んな度胸もないしする気もねぇよ。｣

｢したら殺されるもんね。｣





そう言って彼女は笑うが、実際笑い話じゃない。ちょっとでも泣かせればその周りが過剰に動き出すのだから下手なことは出来ないわけだ。正直束縛よりそっちの方が面倒くさい。





｢ともかくさ、別に治さなくていいよ。私的には嬉しいし。なんなら正直に言っちゃって♡｣

｢………最近綾橋と距離が近い。｣

｢早速じゃん。｣

｢正直に言えっつったろ。｣

｢はいはい。で、綾橋と距離が近いから何？｣

｢………………もうちょい考えろ。｣





さすがに恥ずかしくなったのか、伏黒はぷいっと顔を逸らしてしまう。Aはそんな伏黒の反応が面白いのかニヤニヤと笑っていた。

ここ最近になって、彼女の方が一枚も二枚も上手になってきた気がする。付き合い始めた頃の初々しさは微塵も感じられない。





｢………はぁ………｣

｢なんのため息それ？？？？｣

・26→←・24

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す