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「お、いた。真希ー!」
パンダが彼女の名前を呼ぶと、彼女はパッと顔を上げ、猛スピードでパンダの元へと走った。その勢いに思わずパンダはビクッと肩を震わせる。
「あいつ、生きてたか!?」
「お、落ち着けって……今のお前こえーよ……」
「いいからあいつは!?」
「大丈夫だって。生きてるし、なんならピンピンしてるよ。山積みの課題やってた。」
「そ…うか………」
パンダがそう言うと、真希はほっとしたように息を吐いた。
「あいつも真希の事気にしてたぞ。元気か〜?って。」
「はっ……気にしてんなら連絡くらい返せっての。」
「反省期間中だからって電源まで切ってたぞ、あいつ。」
「真面目くんかよ。」
「ヘタレの間違いじゃね?」
「はぁ………何を気にしてんのかね。」
そうは言うが、気にしているのは彼女も同じだった。彼が何となく非術師に苦手意識があることには気がついていた。それでも、家族や自分、甚爾を大事にして慕っていることも知っていた。だから何も言わなかったし、聞かなかった。本人が言いたくないから自分に隠しているのだろうと思っていたから。
それでも、今回の事でもっと不安になった。今まで、どれだけ自分が馬鹿にされても冷静だったし、幸慶達が馬鹿にされてもその場はこらえていた。どんな時でも冷静で、その相手が非術師であれば尚更だった。そんな彼が非術師に手を挙げて裁判にかけられたと聞いた時は血の気が引いた。
その行動はまるで、非術師は守るべきもの、という彼の考えが崩れ落ちるのを意味しているようだった。そうなれば自分たちはどうなるのか。全てが無かったことになり、彼に軽蔑の目を向けられるようになるのかと、そんな不安が頭をよぎった。
こんなに不安にさせるのは、この世であの男だけだろう。
「ま、大丈夫だろ。真希のことちょーーー大好きなあいつだからな。」
「………そうだな。」
「気にすんなって〜好きじゃなきゃ元気か?なんて聞いて来ないっしょ。」
パンダは真希を慰めるようにそう言った。彼女はそんなパンダの腹をぽん、と軽く殴る。
「………後でカルパスやるよ。」
「お、やりぃ〜」
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ゆーりん - 泣きそうになったのは仕方のないことです!辛い!! (2022年11月20日 2時) (レス) @page35 id: 63a2588af8 (このIDを非表示/違反報告)
魔朝@Bsc(プロフ) - おっと目から水が......(´: ω :`) (2021年6月26日 21時) (レス) id: 9bfc59222b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2021年6月25日 2時